自民・公明・国民民主の三党はどのような結論を出すのか?
衆議院選が終わってから、公明党は国民民主党との距離を急速に縮めてきた。国民民主の人気にあやかるという側面もあっただろう。そしてなにより、「年収103万円の壁」引き上げは、国民生活に直結する政策で成果を上げたい公明党にとってうってつけの政策だった。
西田幹事長は「自民の森山裕幹事長には私の方から働きかけていく」と、あくまで幹事長間合意を重視する姿勢を示し、事実、強い働きかけを行ったようだ。
自民の森山幹事長としても、三党幹事長の合意を忘れたわけではない。「インナー」と呼ばれ、それなりに権勢を誇ってきた党税調が「123万円」の回答しか出してこなかったのを、幹事長の立場として軽視することはできなかったはずだ。さりとて、この政策を掲げて衆院選を戦い、議席を4倍にも増やした国民民主への対応を誤ると、石破政権の命取りになりかねない。
昨年12月20日に決定された与党税制改正大綱には、相矛盾する二つの文言が盛り込まれていた。「年収103万円の壁」を123万円に引き上げるとしながらも、「178万円を目指して来年から引き上げる」「自民・公明両党として、引き続き真摯に協議を行っていく」と三党幹事長間の合意内容も記載された。
税調の出した結論に縛られないですむ文言を大綱に書き加え、政治決断で引き上げ額を決める余地を残しておいたということだ。その点に期待したのだろう。公明の斉藤代表は18日、「自民党案では不十分だ」と石破首相に“直訴”している。
「年収103万円の壁」政策は実質所得の目減りに対処する必要不可欠な税制の見直しであり、所得制限などあるべきではない。自民党税調の提案を受けて、公明党は所得制限の額を200万円ではなく1000万円とする案を軸に三党間の調整をしているようだが、所得制限を設けること自体、国民民主としては受け入れがたいのではないか。
いずれにせよ、税調ベースの交渉ではどうにもならないことは、はっきりしている。あとは幹事長、あるいは党首レベルでどう決着をはかるかだ。
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