厚生年金の期間が多い人は将来どのくらい年金を貰えるのか?

 

ちなみに厚生年金加入の条件を緩和していこうという事になったのは平成16年改正の時ですが、どうして緩和していこうとしているのでしょうか。

これは非正規雇用者の急増に関係します。

昭和60年あたりは600万人ほどの非正規雇用者でしたが、平成20年代からはこれが2000万人ほどと急増しました。

この間に何があったかといえば、平成3年のバブル崩壊、平成10年前後の金融危機による会社の倒産の増加、平成19年のサブプライムローンによる住宅需要の崩壊から生じたリーマンショックなど景気が大きく崩れるような事が相次ぎました。

よく就職氷河期の人が問題になりますが、これはバブル崩壊により会社がコストを削減するために、新規採用を控えたりして正社員ではなく非正規社員に置き換えていった事が発端です。

非正規社員は基本的に厚生年金に加入させなくていいからですね。

会社としては、厚生年金に加入させる事で保険料を半分支払うのをとにかく嫌うのです。

厚生年金だけでなく健康保険も半分は会社が持たなければならない。

よって、そのような負担が増加しない非正規社員を大量に雇って、経費を削減していったのです。

会社としてはその場しのぎで乗り切れるかもしれませんが、従業員としては将来が大変です。

厚生年金に加入できないという事は将来の年金が低くなるという事であり、前回のメルマガのように国民年金のみの場合と変わらない事になります。

非正規社員は現役時代も給料が低く、生活が大変の場合が多いですが、老後になっても年金が低い事で貧困に喘ぎかねないです。

そうすると将来は貧困者が溢れかえり、社会が不安定になっていきます。生活保護費も今の3兆円(社会保障費130兆円の2%ほど)から20兆円ほどに膨れ上がる事が危惧されています。

そうなると当然、企業も安全でいられるわけはなく貧困者が増えれば商品を買ってくれないから、会社としては収益が下がってしまいます。

収益が上がらないのであれば、従業員の給料を上げられないし、給料の低い社員はモノが買えなくなるのでますます会社の収益は下がるデフレスパイラルに陥ります。

このままでは今の40代くらいの就職氷河期世代だった人が、貧困者になってしまう恐れが高いのでできるだけ厚生年金に加入させる方向に向かわせる事で、高い年金を貰えるようにしたいのです。

今の若い人を守るための政策がちょうど今大きな課題なのです。

会社側は厚生年金加入緩和を嫌がりますが、そんな事にいちいち構ってられないのが現状です。

さて、今回は厚生年金の期間が多い人の年金事例を考えていきましょう。

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