政局シナリオ(2)旧清和会安倍派が復活、各党から合流で過半数超え
では、そのような「現状の構造の延長で、全体が悪化」というシナリオではなく、明確に「政権与党が多数になり、しかも公約が承認された形となって政治が前進する」というシナリオは描けるのでしょうか?
理論上は可能だと思います。その1つ目のシナリオは、
「旧清和会安倍派など、現在の非主流派が自民党を割る。その上で、大阪以外の維新、保守党など俗に言う保守勢力を糾合してグループを作り選挙で善戦する。結果的にこれに自民の残りの部分からの合流、大阪維新の連携、立憲右派の合流、石破を裏切った公明の合流などがあって、過半数超え」
というものです。つまり、保守色を前面に出したグループでまとまるというものです。
政局シナリオ(3)野党・石破の中道左派政権が誕生
また、さらに別のシナリオも想定可能です。
「立憲の左派、国民、れいわなどが意外に善戦し、石破と岸田がこれに乗り、中道左派のグループができて、公明もこれに乗っかる」
という流れです。
ただし、これは実現可能性としてはかなり薄そうです。というのは自民党の場合、党から飛び出すグループというのは「それまで党内非主流派で冷遇されてきた」とか「政治とカネの問題で悪者になっていた」ほうが主で、「飛び出すエネルギーを持っている」からです。
ということは、旧安倍派という怨念エネルギーを抱えたグループの方が、飛び出す勢いを持っているということになります。
というわけで、日本の「政局」が動いた場合、「現状の延長での悪化でズブズブ」「右派の軸でまとまり」「左派の軸でまとまり」という3つのシナリオがあるわけです。ですが、ここから先が大事なのですが、この3ついずれかの選択になったとして、多少の違いが出そうなのは、
「右派が軸になれば、選択制夫婦別姓が先送り」
「左派が軸になれば、原発再稼働が先送り」
ぐらいになると思われることです。でも実は今、政権選択の中で必要なのはそこではありません。そうではなくて、
「世論にある財政規律への敵意を受けて、財政を緩めるのか?あるいは壁の引き上げや子育て支援については何らかの増税で対応するのか?」
「トランプ政権の圧力を受けて、防衛費に関してGDP比で2.5〜3.0%を目指すのか?あるいは2%が精一杯だとしてアメリカに説明する<のか?」
という2つの点、これが重要です。
こうした点に関しては、漠然としてではありますが、財政規律については「右派は緩和、左派は財政健全化」という軸があり、防衛費に関しては「右派はアップ、左派はダウン」という軸がありそうです。(次ページに続く)