石破氏は総理大臣という「罰ゲーム」を攻略できるか?
ですが、実際の問題は深刻に過ぎるわけで、例えばですが、財政に関して国民負担を増やすのなら、国民にそう説明しなくてはなりません。また、国民にこれ以上の負担をさせないのであれば、財源を示さなくてはなりません。どちらもイバラの道が待っています。
防衛費もそうです。増額がイヤなら、総理になった人はトランプを説得しなくてはなりません。反対に、増額を飲むのなら、その財源を示して国民を説得しなくてはなりません。こちらも左右どちらに転んでも罰ゲームという感じです。
そうなると、「イヤな思いをせず、そして自分の政治生命が瞬殺されるリスクを回避して、確実に議席を守る」ためには、総理大臣になるなどというのはまったくのマイナス行為になります。
そうではなくて、野党に回って部分連合などで「いいとこ取り」をするか、完全野党になって「反対の大合唱」に加わっていた方がいいわけです。
政治家になった以上は総理大臣になるのが「夢」だとか「本懐」だという時代もありましたが、どう考えても現在は反対です。総理大臣という椅子は罰ゲームになっています。この点について、石破茂という人がとことんまで理解することができれば、どこかに道が開けてくるのだと思います。
今回の新人議員に対するスーツ仕立券配付未遂事件もそうですが、別に石破氏がカネに汚い訳ではないと思います。また、この件の判断を迫られた際に、
「民主党も含めて歴代政権はみんなやってきたことだが、自分はあえて仕立券を配るのは止める」
と堂々と発言する権利はなかったのだと思います。(次ページに続く)