イーロン・マスクとロバート・ケネディJrという変数
ところがそこから先にさらに破天荒な展開があり得ないとは言えない状況が生まれつつある。
- 3月19の米NBCは、米国防総省が経費削減策の一環として「在日米軍の態勢強化計画を中止し、11億8,000万ドル(約1,700億円)を節約する」ことを検討していると報じた。またNATO結成以来独占してきたNATO軍最高司令官のポストを放棄することも検討中とも。
- これを扇動しているのはイーロン・マスクで、彼は国防総省の予算についても大胆な削減が可能だと公言しており、3月21日には直接ペンタゴンに乗り込んで、特に対中国戦争が起きた場合の米軍の対応シナリオについて説明を求めたと言われる。
その狙いが何かはわからないが、米国内で言われている一説では、マスクは従来型の空軍力の前進配備とそれを防護する地上配備の迎撃ミサイル網という発想そのものを「時代遅れ」と断定し、かつてレーガン政権が打ち出した「スター・ウォーズ構想」のような宇宙防空システムを構築して米本土を覆うことで莫大な在外駐留経費を節減しようとしているとされる。 - 加えて、トランプの閣内にはロバート・ケネディJrがいて、彼は一昨年の大統領選出馬表明に当たって「大統領になったら、800もある海外米軍基地を閉鎖して部隊を帰国させ、帝国解体の作業を始める」と公約した。今はお門違いの保健福祉長官に収まってはいるものの、以前の持論でトランプに影響を与えることもあるのではないか。
★ 本誌No.1206(23年5月15日号)「日本と世界の反戦・平和勢力はロバート・ケネディJrを米大統領にして「全米軍基地撤収」の公約を実現させよう」
→【関連】“ケネディ一族の呪い”は解けるか?米大統領予備選に出馬するJFK甥の「公約」
★ 本誌No.1251(24年3月18日号)「米大統領選は本当にこのまま「老老対決」の不毛に沈んでいくのか/ロバート・ケネディJrという第3の選択は?」
→【関連】バイデン、トランプ「老老対決」に“不測の事態”を心配する声。鍵を握る名門「ワンチャン候補」の名前
これらの要因の絡み方次第では、石破茂首相が悶絶してしまいそうな同盟関係の激変もあり得うるということである。
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