いじめ問題の解決を放棄してしまった日本という国
海外ドラマを見ていて、「なんて理不尽な…」「おいおい、すげーわがままだな」と率直に感じることが多いです。その度に、文化の違いかと思っていましたが、色々なトラブルの相談を受けていると、うーん日本も変わらなくなってきたねと率直に思います。
ちなみに、私は下町育ちで襖挟んで隣の部屋でテレビがついている中で受験勉強とかを集中してやっているという環境で育ったので、すこしうるさかったり、テレビがついているなどしていた方が集中するのです。ですので、海外ドラマとかが流れている中で仕事をしていることが多いです。当然、打ち合わせとか電話相談などの際、音は消しますが、だいたい流れっぱなしです。
さて、今回は加害保護者からの相談を取り上げました。
多くの方が、「なんだこの親、イカレテンノカ!?」と思ったでしょう。私も率直にそう思いました。実際は、被害保護者を装って電話をしてきましたし、論理的かつ各事例を挙げて、例え話を混ぜ、懇切丁寧に、ご説明差し上げましたが、自分に共感しない、意のままに従わないことで、声を荒げ、最後は「訴えます!」でガチャ切りです。
驚くことに、2025年に入って受けた加害保護者からの電話相談10件のうち、8件はほぼ同様でした。残り2件は「やっぱり駄目ですよね」と言われて終わり、他カウントしていない電話相談は、加害責任から如何に逃れるかを教えろということをハッキリ言ったので、受付段階でお断りしています。受付をしているスタッフによれば、ごく自然に、教えるのが当然だという態度だったそうで、もう「馬鹿タレ」ですね。
いじめ問題では、学校が責任を負いたくないということから家庭の問題に無理やりねじり込むという隠ぺいの仕組みが徐々に明らかになってきていますが、この場合は被害側の家庭問題に落とし込むという二次被害が発生しています。
一方でいじめの研究をしている専門家の多くは、加害側の家庭環境の問題を指摘するケースがもともと多くあります。研究する側には利害や利権もないので、第三者的に論理的にみれば、加害側の背景に影があるなと気が付くわけです。あくまで「多い」というだけです。
家庭か学校かどっちが悪い論のみで考えることは、問題の本質から目が逸れていると思えてなりません。もちろん、ものすごい隠ぺいをやる学校があるので、全てがというわけではないのですが、隠ぺいができてしまう構造に目を向けるべきだと思っています。
少子化もそうですが、いじめを減らすということに真に向き合うのであれば、研究や調査は必須であるにもかかわらず、現状では、理由なき研究調査の中断などが相次いで起きていました。問題解決への放棄です。
私は言葉を信じません、行動のみを評価するほぼ冷血人間になってしまいました、本業探偵でも難解事件や専門調査ばかりやっていると、欲望の先にあるトラブルを扱うことになり嘘まみれの世界で本質を突けなければ、生き残れません。死線を超え続けた結果、そういう思考になりました。
つまり、日本は行動ではいじめ問題解決を放棄したが、一応口先ではやってます、当然やりますの姿勢です。あとは、日本語の利便性を使い、いかに軽く聞かせるか、やっているようにみせかけるのかになってきているのだと思います。
ですので、私は日本のいじめ対策は後退するだろうと冷静に見ています、それではいけないので、様々な働きかけをしています。私の微力ではそよ風も起きないでしょうが…。まだ諦めはしません。
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