「玉木首相」誕生の絶対条件。国民民主が「自公国連立」の罠を回避し「非自民連立による政権交代」を目指すべき理由

 

「石破おろし」が逆効果になる、自民党の苦しい事情

参院選を前に総裁の交代を望む議員が自民党内に多いのは確かだ。しかし、たとえ新総裁の登場によって参院選に勝利するとしても、衆議院で与党が過半数割れしている現状には変わりがない。

穏健な政治姿勢を持つ石破氏が首相ならということもあり、野党各党は昨年の首相指名選挙で一致結束して対決する道を選ばず、第二次石破政権の発足を許した。

だが、石破氏以外の政治家が自民党総裁になった場合も、引き続き自公に政権が与えられる保証はない。むしろ野党がまとまって首相指名選挙にのぞみ、自公は政権を失うのではないかという恐怖感のほうが自民党内に広がっている。

自民党はなにより政権の座に居続けることを重視する。初めて自民党が下野し、細川非自民連立政権が誕生した1993年、自民党本部は千客万来だったそれまでの日常がウソのように、静まり返っていた。当時の森喜朗幹事長は「自民党も終りだな」としょげかえっていたという。権力とカネが自民党にとってエネルギーの源泉なのだ。

野党が内閣不信任決議案を出すケースはあるだろうか。立憲の野田代表は「総合的に判断する」と慎重な姿勢を崩していない。石破首相のまま参院選を戦うほうが有利という判断があるのは確かだが、それだけが理由ではない。

そもそも、野田代表と石破首相は財務省を媒介として手を握っているフシがある。

財務省の新川浩嗣事務次官と宇波弘貴主計局長は石破首相の信認が厚く、立憲の野田代表とのパイプも太い。二人とも、民主党政権末期、当時の野田首相の進める「社会保障と税の一体改革」に深く関わっていた。自公に立憲を加える大連立を画策しているとの噂さえ囁かれるほどだ。ゆえに立憲は、野党第一党として石破首相を極限にまで追い込むことを避け、「生かさず殺さず」の姿勢を続ける可能性が高い。

以上、石破政権の現状について、思いつくことを記してきた。要は、与野党が勝負を避けているのだ。しかし、この状態がいつまでも続くとは考えられない。負けを承知で石破首相のまま参院選に突入する道を自民党が選択するだろうか。(次ページに続く)

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