“静けさ”の中に漲る情熱。デフリンピックが教えてくれた“コミュニケーション不全”という問題の原点

Tokyo,,Japan,-,February,28,,2025:,Signs,Promoting,The,Tokyo
 

耳が聞こえない、聞こえにくいアスリートたちの競技大会であるデフリンピックが26日に閉幕を迎えました。今回のメルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』の著者で健康社会学者の河合薫さんは、その静けさの中で痛感した「コミュニケーションの本質」というものについて語っています。

静けさの中で

盛り上がりをみせたデフリンピックが閉幕しました。

NHKが1年以上前から繰り返しキャンペーンをやっていたことが実を結びましたよね。

これぞメディア。伝えるべきこと、伝えたいこと、伝えて欲しいこと、その全てが実践されていました。

手話には以前から興味があったのですが、デフリンピックで、テレビ画面に映し出されるアスリートの顔と手、画面下のテロップがとても静かで優しくて。

会場の人たちの身体全体を使った応援も、すごく素敵でした。

そこから、静けさの中の情熱が伝わってきました。

そうなんです。

今回あらためて痛感したのが、この「コミュニケーションの真髄」です。

例えば、デフサッカーではボールの動きを目で追うことに加え、チームメンバーでアイコンタクトをとりながらパスをする。そのとき、ハンドサインで後ろに敵がいるかどうかを伝えるなどしてコミュニケーションをとる。

ただ、選手によってハンドサインが異なったり、プレーの状況によってはサインが出せなかったりするため、事前にさまざまな状況を想定して戦術を練るなど普段からのコミュニケーションがとても重要になるそうです。

また、デフバドミントンのダブルスでは、前衛の選手は味方後衛の足音や打った音が聞こえないので、目で見て反応するしかない。でも、間に合わない場合もあるため、その時は仲間を信じて動いているというのです。

その「音のない世界」でのスポーツにおける戦いがどういうものなのか?

これを想像するのは、とても難しいです。しかし、チームである以上、信頼があってこそ自分の能力も発揮できるし、1+1=3、4、5……といった具合にチーム力が高まることはとても理解できます。

組織経営においても同じです。つながりに投資し、信頼と共感と敬意が実現しない限り、チームは成立しません。ましてや、1対1のつながりも築くことなど無理です。

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