レッドラインを越えた米国とイスラエル。イラン攻撃が引き起こす「世界大戦ドミノ」という最悪シナリオ

 

ついに切られた「世界を巻き込む大戦争」の火ぶた

ただ地域における核兵器の脅威を軽減するために、米・イラン間で行われている核協議の行方を注視し、イランが軍事目的での核兵器開発を止めることで、それがアラブ全体の非核化の実現と安定に繋がることから、合意の暁には、アラブ諸国は“イランのあらゆる経済復興およびエネルギー面での行いを支持する”というバックアップ体制までできていました。

一向に強硬な姿勢と要求を変えないアメリカ(特にJared Kushner氏)の態度と、広まる・深まるアラブとの絆をベースに、実は先週末か今週末にジュネーブで行われる協議では、イラン側は「もともと核兵器開発の意図はないが、アメリカ側がその明言を要求するのであれば、イラン側としては核兵器の開発を諦めるという約束をする用意がある。その見返りにアメリカは対イラン敵視政策を止め、対イラン経済制裁を撤廃することを要求する」という線まで踏み込む用意があるという情報が入っていました。

「釈然としないことも多々あるが、これで一旦、イラン絡みの危機は収まる」とジュネーブ行きの準備をしていたのですが、先述のように、その協議は開催されず、代わりに私たちは燃え盛るイラン全土の映像とイランによるアラブ諸国に散らばる米軍基地とイスラエルおよびイラン周辺諸国(UAE、サウジアラビア王国、カタール、バーレーン、クウェート、ヨルダンなど)やキプロス(EUメンバーでかつ英国の空軍基地がある)に対する大規模な報復攻撃、そしてアラブ諸国が貫いてきた沈黙の終わりを見せられています。

サウジアラビア王国やUAEはイランに対する報復攻撃を行う可能性に言及し、戦火は中東全域に広がる非常に危険な状態です。

結果として米・イスラエルによる対イラン攻撃は継続されていますし、日に日に参入してくる国々も増えてきています。

キプロスの基地を攻撃された英国はキプロス防衛のために地中海に駆逐艦を派遣しましたし、ギリシャもキプロスとの微妙な関係に沿って艦船を派遣し、UAEなどと相互防衛協定を持つフランスも原子力空母シャルル・ド・ゴールを地中海に派遣・展開するなど、欧州もこの紛争に巻き込まれる事態が生じています。

そして被害は出ていませんが、ちょうどイランとウクライナの間に位置するトルコにもイランのミサイルが飛来し、迎撃されたことで、戦争のウクライナへの拡大を阻む最後の砦たるトルコも一連の紛争に巻き込まれることになります(無事に迎撃してくれたおかげで、NATOの第5条の発動要件は満たさなかったのはラッキーでした)。

トルコと言えば、昨年にPKK(クルディスタン労働者党)と政府との間の和解が行われ、PKKの解散と40年以上にわたる反政府運動の停止が実現され、和平が成立したところですが、長引く対イラン攻撃の次のステージとしてアメリカとイスラエルがイラン国内のクルド人組織を地上部隊としてイランの体制転換のための駒として用いようとしている動きに対し、エルドアン大統領とトルコ政府が危機感を募らせて、イラン情勢への積極的な関与の可能性が高まっているという情報も入ってきています。

まさに第3次なのか第4次なのかもしれませんが、世界大戦の火ぶたが切って落とされてしまった気がしてなりません。

まさに予想していた最悪に近い状況が広がっているといっても過言ではないかと思いますが、このような状況下で得をする国・人がいるとしたら誰でしょうか?言い換えると「そもそもなぜこのような事態になったのでしょうか?」。

さらには「アメリカのトランプ大統領は今回のイランへの大規模な攻撃と広がる中東地域での不安定化によって何を得ようとしているのでしょうか?クリアな目的はあるのでしょうか?」

謎は深まるばかりですが、いくつか私の答えと見立てをご紹介できればと思います。

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