レッドラインを越えた米国とイスラエル。イラン攻撃が引き起こす「世界大戦ドミノ」という最悪シナリオ

 

中東からアジアへと拡大する「戦争ドミノ」の恐怖

そのような事態になるとどのようなドミノ現象が起きるでしょうか?

イスラエルとハマスの戦いはアラブ諸国を巻き込んだ地域戦争に飛び火し、イランを巡る対峙に繋がり、トルコを経由して、ロシア・ウクライナ戦争に飛び火します。

そして東地中海を超えて東アフリカの不安定要因を際立たせ、それがクーデターベルト(西アフリカから中央アフリカに伸びてきているクーデターが勃発している国々の帯)を辿って、アフリカ全土を巻き込む戦争に繋がる恐れが高まります。

そしてアジア太平洋地域諸国を巻き込むことになれば、インドとパキスタンの緊張に再点火され、カシミール地方での対峙を経由して、中国との緊張が高まると、それは中国とインドの影響が及ぶミャンマーの内戦を激化させ、それがまたタイとカンボジア間での紛争を再度刺激することに繋がります。確実に戦争はドミノ倒しのように広がります。

そして今、イランとの攻防に力を削がれているアメリカは、(イスラエルが望む通りに中東の泥沼にはまり)中長期的に足止めを食らい、武器弾薬も大量に消費することで、ウクライナに対する武器供与の余裕がなくなり、欧州が全く頼りにならない中、ウクライナはロシアを前にして討ち死にするような悲劇に発展する可能性が高まります(実際にゼレンスキー大統領もその懸念を毎日のように口にしていますが、あまり相手にされていない模様です)。

中東での足止めは、アメリカの軍事的なプレゼンスがアジア太平洋地域から離れることも意味し、そうなると、就任以来、全く目立った成果を挙げていない習近平国家主席にとっては、予定を早めて台湾侵攻を強行して、宿願である台湾併合を成し遂げ、中華統一を旗印に、終身国家主席の地位を固めにいくインセンティブが一気に高まることになりかねません。

もし中国が台湾侵攻を強行し、周辺地域を勢力圏に収め、支配を確実にするためには、軍事的なシステムを構築するために与那国島を押さえにかかることが予想されますが、沖縄に鎮座する米軍やグアムにいるはずの米軍は本当に台湾および広域アジア太平洋地域の防衛に動く余裕があるかと考えると、かなり怪しいと感じます。

恐らく日米安保条約を盾に日本の防衛を依頼しても、トランプのアメリカからは「自国のことは自分で守れ」と言われるだけでなく、「台湾防衛と中国の伸長を食い止めるために、日韓が主力となって戦え」と言われるシナリオが予想されます。

そうなったら日本も韓国も台湾のために戦うのでしょうか?

領土的な話で言えば疑問ですが、ただ台湾が中国側に吸収されることは、すなわち東シナ海・南シナ海における領海のラインが変わり、かつ排他的経済水域(EEZ)が中国のEEZとぶつかるだけでなく、海路・輸送経路も大きく変わることを意味します。

ホルムズ海峡のコントロールに加え、東アジア諸国にとっては生命線となる台湾近郊の海域の通航も容易ではなくなることを意味します。これに対応するために、また愚かな戦争が勃発したら…。確実に世界大戦に巻き込まれることになります。

この悲劇を食い止めることができるのは、アメリカでもイスラエルでもなく、ましてやアメリカの属国になっている欧州でもありません。

アメリカに虐められつつもまだモノを言える大多数の国々が、アメリカ・イスラエル・ロシアが力任せに行う愚行と蛮行に対して「これらは完全に言語道断で、非常に危険で、決して看過できない違法行為だ」と公然と声を上げ、連帯することなのですが、果たしてそのような連帯は生まれるでしょうか?

この記事の著者・島田久仁彦さんのメルマガ

初月無料で読む

print

  • レッドラインを越えた米国とイスラエル。イラン攻撃が引き起こす「世界大戦ドミノ」という最悪シナリオ
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け