トランプが巻き込まれる憎悪と混乱の渦。世界中からかき集められた「米軍の武器弾薬」が中東に投入の衝撃

 

ネタニヤフの思惑に翻弄されるトランプの対イラン戦略

さらには「どうも今回のイランへの大規模攻撃の実施とハマネイ師の断首作戦は、イスラエルから依頼された・そそのかされたものであり、アメリカは中東における混乱の泥沼に引きずり込まれた」とする非難が国内からなされ、かつ作戦による米兵の犠牲者数が増え続ける事態や、イラン南部の女子小学校を誤爆し、170名超の死者を出したことが明らかになるにつれ、「海外の紛争には参加せず、国内に集中する」という公約を掲げていたにもかかわらず、2026年に入ってベネズエラ、イランと軍事介入を連発していることに、岩盤支持層のMAGA派の中からも疑問が呈される事態になっています。

トランプ大統領の紛争への介入は、それが仲介という形式と取っていたとしても、また今回のように直接的な軍事行動という形式をとっていたとしても、「何を達成したいのか?その後、どうしたいのか?」という出口、エンドゲームをクリアに描くことなく、場当たり的な対応で、悪く言えば、彼本人の気まぐれで実行されているように見えます。

しかし、実際には「世界市場のコントロールをアメリカに取り戻す」という一貫したアジェンダが隠れているのですが、今回のイラン攻撃については、思惑が外れているのが分かります。

建国250年の式典(7月4日)と11月の連邦議会中間選挙を控えるトランプ政権としては“早くイラン紛争から離れたい”という指向が強まってきているわけですが、今後、どのような形でトランプ大統領がそれを実行しようとするのか、とても見ものですが、それが可能か否かについても不透明と言わざるを得ません。

恐らく「アメリカが計画していた作戦は成功の裡に終わった」と、“成果”を一方的にアピールして幕引きを図ろうとするのだと思いますが、果たしてそれをイスラエルのネタニエフ首相が許してくれるかは分かりません。

すでにネタニエフ首相は、イランへの攻撃への対策と、ガザの停戦をリンクさせているだけでなく(ガザへの攻撃も継続中)、アメリカが同じく“仲介”に乗り出していたレバノンとの和解についても、レバノンに対する大規模な攻撃を行うことで、アメリカ絡みの全案件をリンクさせて、中東から離れられないようにしています(ちなみにイスラエル軍によるレバノンへの攻撃は壮絶なものになっており、一度に100名以上の死者を出す事態になっています。確か木曜日だったかと思いますが、BBCの生放送中にビルが攻撃され、女性のキャスターが吹っ飛ぶという事件が全世界に配信されています。幸いその女性キャスターは無事だったようですが、同攻撃で100名以上の死者が出たと言われており、この事態を受け、英国のイスラエルに対する風当たりはこれまでになく強まっていますし、アラブ諸国もイスラエルの蛮行と歯止めの利かない凶行に対して強い非難を行っています)。

見方によっては見事にネタニエフ首相の思惑にトランプ大統領とアメリカがはまったことになりますが、もし米軍の地上部隊の派遣が行われた暁には、これによってアメリカは離れたはずの中東に引き戻され、憎悪と混乱の渦に巻き込まれることになります。

その兆候は【アメリカ軍の武器弾薬が、世界中からかき集められ、中東戦線(イラン戦線)に投入されている】という情報に現れています。

例えば、在韓米軍に配備されているTHAADやパトリオットミサイルが取り外され、韓国から中東の米軍部隊に向けて移送されたという情報が多方面から入っていますし、ウクライナ向けの武器供与もストップされ、優先的にイスラエルと在中東の米軍に向けられているという状況が指摘されています。

これが冒頭の「アメリカは本当に大丈夫か?」というコメントに繋がります。

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