トランプが巻き込まれる憎悪と混乱の渦。世界中からかき集められた「米軍の武器弾薬」が中東に投入の衝撃

 

欧州の分断とウクライナの孤立が招く世界戦争の連鎖

「ウクライナの危機は欧州の安全保障に直結する」と懸念を表明し、「~べきだ」といろいろと口を挟む欧州各国と欧州委員会は、「独自の防衛システムを構築すべき」とか「フランスとドイツ、そこに英国も交えた核共有による核抑止の強化が急がれる」とヨーロッパ・ファーストの対策を取ろうとするものの、ウクライナ防衛に対する内容は鳴りを潜め、ウクライナは孤立状態に置かれつつあります。

またトランプ大統領に浸透し、アメリカの意向を組むハンガリー政府とオルバン首相に対し、ゼレンスキー大統領が「ウクライナ軍がハンガリーを急襲する」といったニュアンスの発言をしたことで、オルバン政権は完全に反ウクライナの姿勢を貫き、欧州からウクライナへの物品や支援の供与の際にハンガリーを通過することを許可しない旨、公言したことで、実質的にウクライナは欧州からも切り離されることになりそうです。

この事態はプーチン大統領とロシアに強いメッセージを送ることとなり、今後、これまで以上にウクライナを蛇の生殺し状態でいたぶり、時間稼ぎをしつつ、他の国際案件に介入する機会をロシアに与えることとなりそうな予感がします。

そうなると、アメリカの“同盟国”の立場から見ると、「アメリカに頼っていて大丈夫か?」というニュアンスでの「アメリカは本当に大丈夫か?」という大きな問いが出てくることになります。

この方向性を決めるカギはロシアや中国の動き方次第とも言えますが、イランを後方から支援し(実際にロシアは兵器をイランに供与していますし、中国も、自国のエネルギー安全保障のためとも言えますが、イランを下支えし、反欧米勢力での連携を強めています)、アラブ諸国を巻き込むことが出来れば、戦争は長引くでしょうが、ある程度の危ない安定を保つことはできるかと考えます。

しかし、中国が今こそ絶好の機会とばかりに台湾に侵攻し、インドがパキスタンとの間での決着を付けようとし、北朝鮮が暴発して北東アジアで日米および韓国を相手に軍事作戦に打って出て、北朝鮮と中国に手を煩わされている間に、ロシアが極東問題(北方領土問題)を終わらせ、予てよりアメリカに阻止され続けてきた勢力圏の拡大に打って出るようなことになれば、世界各地で火の手が上がり、世界大戦が勃発することになりかねません。

ロシア・ウクライナ戦争は状況が停滞したまま続けられ、イスラエルの蛮行に堪忍袋の緒が切れたアラブ諸国が、イランとは協力はしないかと思いますが、イスラエルに戦いを挑み、イスラエルは絶対優位を確信していたはずのレバノン、親イラン勢力、アラブ諸国、そしてイランを相手に多正面で戦いを余儀なくされ、ついには存亡の危機に瀕する可能性が否定できません。

現時点では非常に強いプロ・イスラエルのトランプ政権のアメリカがいますが、そのトランプ氏も、イラン戦線の膠着がアメリカ国内での反トランプ勢力の拡大に繋がり、かつ原油価格をベースにした世界コントロールが効かなくなったら、そそくさと“対イラン戦争勝利”を宣言して、イスラエルを切り離す動きに出ようとするかもしれません(実際にそれが実行可能な選択肢か否かは、いろいろ複雑な事情が絡むため、あえて断言はしないでおきます)。

11月の中間選挙で共和党が上下院の過半数を失うような事態になった場合、国内政治はレームダックに陥って何も進まなくなるので、トランプ政権がついにイスラエル切りをし、国内の声に耳を傾けることなく、すべての紛争から手を退くことになるかもしれません(アメリカお得意の、介入して滅茶苦茶にして、放り出す悲劇の再現かもしれません)。

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