トランプが巻き込まれる憎悪と混乱の渦。世界中からかき集められた「米軍の武器弾薬」が中東に投入の衝撃

 

米軍の中東戦線への戦力集中が揺るがす東アジア安全保障

イランの軍事力とその運用力が予想以上に強く、これまで隠してきた最新鋭のミサイルがイスラエル各地を襲っているように、本気で反抗してきていることが計算外だったこともありますが、アメリカがアラブ・中東地域に引き戻されることで、アメリカの世界戦略を転換せざるを得ない状況が生まれていることが“大丈夫か?”の背後に存在します。

先に挙げた在韓米軍からのTHAADとパトリオットミサイルの引き上げは、韓国の国家安全保障問題に直結し、同国の対北朝鮮および対中国の抑止力を削ぐことになり、これは即時にカバーできるレベルのものではないというのが、韓国政府の分析です。

大統領自ら「驚いたが、韓国の防衛力には支障ない」とコメントしていますが、あえて不安を払しょくするようなコメントをしているのは実際に状況が切迫していることを暗に示すものと理解でき、対北朝鮮の前方展開部隊としての在韓米軍の戦力低下は日本にとっても他人事とは言えない事態です。

日本には在沖縄米軍(約5万5,000人)があり、2万9,000人の在韓米軍よりも規模が大きく、かつ北朝鮮の抑止を主務とする在韓米軍とは異なり、在日米軍(沖縄)は専ら東アジア全域の安全保障をカバーすることから、もし東アジア防衛のための装備が今後、イラン向けに引き剥がされるようなことになれば、対中国・対ロシア・対北朝鮮という、北東アジア地域及び日本に対する抑止力が低下する懸念も生じることになる可能性が出てきます(とはいえ、沖縄とグアムがアジア太平洋地域の要になっているため、大幅な能力低下にはならないと考えますが、
日本の自衛隊の果たすべき役割および負担が重くなることは自明化と考えます)。

その状況を中国もロシアも重々承知ですし、北朝鮮も例外ではないでしょう。アメリカのアジア離れ・留守が明らかになったら、中国による台湾侵攻が現実味を帯びますが、その時にアメリカは恐らく日本に対処を迫ることになるのではないかと懸念します。

通常の国際情勢下では、いくら外交舞台での衝突および緊張が高まったとしても日中が軍事的に衝突することは、中国側の見解をベースに見てみてもほぼないと言い切れるのですが、日本が台湾有事に引きずり込まれた際には、何らかのダメージを被る可能性は一気に高まります。

そして、これは推測に過ぎませんが、ウクライナ戦線が膠着状態に陥った場合には、ロシアは極東に関心を向けるかもしれず、そうなると北方四島のみならず、北海道も高い緊張に晒されるかもしれません(このシナリオは、出所は言えませんが、実際に真剣に検討され、具体的な対応策が今、急ピッチで練られているようです)。

アメリカが留守になる事態は、ウクライナの危機をも意味します。ロシアとの駆け引きという側面もありますが、トランプ政権は紆余曲折ありながらもウクライナを支援する姿勢を示し、武器の追加供与も約束していますが、今回のイラン情勢の混迷を受け、アメリカ自身が自国を防衛するための装備・兵器にまで手を付けざるを得ないほど、イラン戦線で武器・弾薬を消費していることから、ウクライナに対する武器供与は完全にストップしています。

もともとイスラエルに優先的に供与してきたアメリカ・トランプ政権ですが、その傾向がより強まり、加えてアメリカの中東・地中海に展開している攻撃群への供給も必要性が増している状態下で、最強かつ最大の兵器産業を誇るアメリカでさえ、製造が追いつかない事態が来ており、それが「アメリカは本当に大丈夫か?」という懸念に直結しています。

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