トランプが巻き込まれる憎悪と混乱の渦。世界中からかき集められた「米軍の武器弾薬」が中東に投入の衝撃

 

中東戦争が生む「核使用ドミノ」という最悪のシナリオ

そうなると、中国の野望もロシアの極東への拡大も具現化され、アジアの東端から西アジア(中東アラブ諸国)、コーカサス、東アフリカ~中央アフリカ経由で西アフリカにまで及ぶ戦いのベルトが形成され、それが北アフリカにも引火すれば、即時にイスラエルに飛び火し、それが地中海を経て、南欧を経由し、欧州に戦火が広がることで、欧州はロシアサイドからくる戦争と地中海から北上してくる戦争に翻弄され、ついには欧州も戦争の舞台になるという恐ろしいシナリオが描けてしまいます。

このような最悪の事態になる前に歯止めが聞くとしたら、中東アラブとコーカサス、そして南アジアとの交差点に位置するトルコが360度全方位で防潮堤・防波堤の役目を果たし、戦火の拡大を防ぐという役目を果たすことができる場合が想定されますが、果たしてどうでしょうか?

先日、イランへの大規模攻撃についてはまだないと確信し、その後に予定されていたジュネーブでの協議の準備のためにトルコ政府の担当官たちと意見交換した際には、トルコにはすべての紛争に対する調停・仲介を提供する用意と意思はあるが、現在のように紛争に囲まれる状況が長く続けば、トルコも巻き込まれる危険性をひしひしと感じているとのことでした。

イラン紛争が引き起こされてからも意見交換と協議は継続していますが(おかげであまり寝ていませんが)、日に日に感じる危機感は高まっているように思います。

今回のアメリカとイスラエルによる対イラン攻撃の実施は、いろいろな要素に鑑みると、決して超えてはならなかった世界大戦前の最後の砦を破壊し、一気に戦いとフラストレーションの波がイラン・中東諸国発で全方向に押し寄せ、戦争の気配がドミノのように遠方にまで及ぶ事態を引き起こしたと考えています。

アメリカがイランを潰すことによって目論んだ世界における覇権の拡大と維持という戦略は、見事に崩れ、もうアメリカをもってしても修復不可能な状況を世界に作り出したように見えてきます。

そしてイスラエルのネタニエフ首相が描いた大イスラエルの実現という、地域覇権の確立も、イランからの反撃と、イランを支持する勢力の拡大を受けて、崩壊寸前にあるだけでなく、イスラエル国家の存続をも、自らの手で崩壊の危機に導いてしまったと言えるかもしれません。

このメルマガを配信している時にも、イランの弾道ミサイルと最新型ドローンを用いた波状攻撃がイスラエル全土を襲い、イスラエルが誇るアイアンドームを掻い潜って、イスラエルに大きな被害を与えていますし、2月28日の対イラン攻撃のミサイルなどがイラン周辺諸国の米軍基地から発射されたことが明らかになったことから、イランは謝罪を取り下げ、アラブ諸国のインフラに対する大規模な攻撃を加えて、アメリカが支配権を再建しようとしていたエネルギー市場のシステムを破綻させる試みを強化しています。

アラブ諸国は今回、自国がイランの標的になったのはアメリカとイスラエルが悪いという認識で一致し、ついにアメリカとのあらゆる契約を見直し、恐らく破棄して関係を断ち、イスラエルを攻撃する最後の砦を壊して、挙ってイスラエルを壊滅させようとするかもしれません。

そうなると、イスラエルは核兵器を平気で使い、それがロシアによる対ウクライナ核使用のハードルを一気に下げ、その現象がドミノ現象のように世界に広がるかもしれません。

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