オルバンとプーチンの蜜月関係
さて、ハンガリーのオルバンさんは1998〜2002年まで首相を務めました。2010年に首相に返り咲き、2026年の選挙で大敗しました。
オルバンは、「ハンガリー・ファースト」の政治家として知られています。具体的にどういうことでしょうか?
わかりやすいのは、彼の「移民政策」です。2015年、いわゆる「欧州難民危機」が起こりました。内戦中のシリアなどから、100万人を超える難民が欧州に流れ込んできた。この時EUは、かわいそうな難民を受け入れる決定をくだしました。しかし、ハンガリーのオルバン首相は、セルビア、クロアチアとの国境を封鎖し、難民流入を阻止した。こんなところは、トランプさんとよく似ています。
そして、オルバンは、同じく「自国ファースト」のプーチン、トランプと極めて近い関係にあります。
(@ヴァンス副大統領は4月7日、ハンガリーを訪問し、オルバン支持を明言しました。しかし、トランプ政権は国際社会で極めて不人気。それで、「ヴァンスが来て、逆効果だった」といえるでしょう。)
というか、もっと率直にいえば、オルバンは【欧州におけるプーチンの代理人】のような男なのです。
『BBC NEWS JAPAN』2026年4月13日。
〈オルバン氏はかつてソヴィエト連邦による占領に反対の立場だったが、現在ではロシアのウラジーミル・プーチン大統領の親密なパートナーとなっている。欧州連合(EU)がロシアのエネルギーへの依存からの脱却を目指すなか、ハンガリーは安価なロシア産原油やガソリンの購入を継続。EUによるウクライナへの900億ユーロ(約16兆8000億円)の融資を阻止した。〉——
2022年2月24日、プーチンはウクライナ侵攻を開始。欧州は、ロシアに厳しい制裁を科し、ウクライナ支援をつづけています。
オルバンは常に、ロシアへの制裁強化と、ウクライナ支援増加に反対しつづけてきた。あたかも、【欧州におけるプーチンの代理人】のように・・・。
〈こうしたことから、オルバン氏はEUで極めて不人気な指導者となっていた。〉(同上)——
オルバン失脚が意味するもの
今回の選挙の結果、オルバンは失脚し、政党「ティサ」のマジャル・ペーテルが首相になるでしょう。
そして、マジャル・ペーテルは、オルバンが破壊したEUとの関係を改善すると断言しています。
このことは、何を意味しているのでしょうか?
オルバンという、EU加盟国の「反EU」リーダーが消える。それで、EUの一体感が増し、決断が速くなる。
では、EUは何を決断するのでしょうか?
・ロシアへのさらなる制裁強化 ・ウクライナへの支援継続と増加
です。
トランプは、2025年に大統領に返り咲くと、ウクライナ支援を止めました。ウクライナが2025年、ずっと戦場で劣勢だったのは、トランプがウクライナをサクッと見捨てたからです。
アメリカが支援を停止した分、欧州は支援を増やさなければならない。そして、欧州はそうしてきました。しかし、オルバンが常に邪魔をするので、なかなか話が進まなかった。
オルバンが失脚し、EUの決定プロセスは速まる。つまり、オルバン失脚は、
・プーチンにとって、【欧州の代理人失脚】を意味し、大打撃 ・ゼレンスキーにとっては、欧州の決定プロセスが速まり、大いにプラス
となります。
ちなみに、ウクライナ戦争がはじまって4年間で、プーチンの同志が失脚(あるいは死亡)するのは4人目です。
一人目は、2024年12月に失脚したシリアの独裁者アサド。彼はロシアに亡命しました。
二人目は、2026年1月、アメリカに誘拐されて失脚したベネズエラの独裁者マドゥロ。
三人目は、2026年2月、アメリカ・イスラエルに殺害された、イランの独裁者ハメネイ。(@プーチンにとって幸いなことに、同じ路線の息子が後を継ぎましたが。)
そして4人目が、2026年4月の選挙で大敗して失脚するハンガリーのオルバン首相です。
今年になって4カ月で、プーチンの盟友3人が権力を失ったのは、興味深い現象です。
(無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』2026年4月14日号より一部抜粋)
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