トランプが“最強の軍隊”で破壊する国際秩序。それでも世界の分断修復に「米国の力が不可欠」という皮肉

 

「大義名分」など存在しないトランプと取り巻きの行動

過大な要求や勇ましい発言、そして脅しを矢継ぎ早に打ち出し続けるものの、TACOがその後に必ず起こる現状に、世界は慣れっこになり、危機に対する意識が鈍っているように感じますが、トランプ政権による世界秩序の無視と破壊により、世界は秩序が存在しない「力がものをいう世界」、「弱肉強食の世界」に突き進んでいるように見えてきます。

毎日発言内容が変わり、毎日気が変わるのはまだしも、自らのレガシーとして「就任以来、8つの戦争を止めた」と豪語していますが、実情は戦争を止めるどころか、“停戦”がかろうじて成立し、維持されている“戦争”も、中途半端な状態で放り出し、いつ再爆発するか分からない、とても不安定で脆弱な状況が至る所に存在しているのが、本当の国際情勢の姿です。

昨年末あたりから、トランプ大統領とその取り巻きの行動は、短絡的な思考と、恐らく妄想にも似た思い込みで、自らの利益のみの追求を極めた結果、覇権国としての力を誤った方向に、そして乱暴に駆使し、気に入らない者(国)や自らの言うことを聞かないか逆らう者(国)、そして自分の利益追求・拡大の妨げになる者(国)に戦争を仕掛ける手法といえます。

つまりそこには大義名分は存在しないことになります。

2026年1月3日に強行されたベネズエラへの奇襲は、当初、麻薬カルテルへの制裁という“正当化”がされましたが、その後、目的は“OPECプラスに制御されている世界のエネルギー市場の支配”にすり替わり、行動に対して国際法違反が指摘されると、「Maduro政権およびチャビスタ(チャベス元大統領の取り巻き)が行ってきた殺害、拉致、誘拐などの人権侵害を正すためのやむを得ない介入」と攻撃と一国の大統領の拉致を正当化して見せましたが、実際にはどうでしょうか?

ベネズエラには平穏が戻り、麻薬カルテル(太陽のカルテル)の影響は削がれ、不当に逮捕・監禁されてきた人たちは返ってきたでしょうか?そして、アメリカは実際に世界一の埋蔵量を誇るベネズエラの石油権益を掌握し、その利権を活かせているでしょうか?

恐らく答えはNOですが、果たしてトランプ大統領はそれを気にしているでしょうか?これについても、恐らく答えはNOでしょう。

では、なぜベネズエラに侵攻し、めちゃくちゃにし、そして実質的に何もせずに立ち去ったのでしょうか?

「思惑が違い、手に負えないことを悟ったから」なのか、「単に飽きた」のか?それは本人にしかわからないと思いますが、もしかしたら本人も分かっていないかもしれません。

次に現在進行形の、もっと深刻なイラン情勢について見てみれば、さらに謎が深まります。

昨年6月の米・イスラエル軍合同でのイラン攻撃、そして今年2月28日に行ったイランへの大規模攻撃・爆撃と、それから延々と続くホルムズ海峡の緊張と中東地域における極度の混乱。

アメリカがイランを攻撃“しなくてはならない”理由として「イランによる核兵器開発」が挙げられていたかと思います。

この“核兵器開発”ですが、実は確証がありません。

ちなみに2月28日の爆撃によって殺害された、前最高指導者のアリ─・ハメネイ師は【核兵器を宗教令(ファトワ)によって、開発や保有を禁止し、反対を唱えていた張本人であったこと】を、皆さんはご存知でしょうか?(私は今回の件が起こるまでは知りませんでした)

革命防衛隊に対しても絶対的な支配力を有していたハメネイ師は、仮に革命防衛隊から核兵器の開発と保有を進言されても、ずっと抑え続け、それを決して許さなかったと、複数のイラン政府関係者から聞きました。

ウランの濃縮については、実際に行われてきたようですが、それが軍事用か否かは不明です。

この記事の著者・島田久仁彦さんのメルマガ

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