トランプが“最強の軍隊”で破壊する国際秩序。それでも世界の分断修復に「米国の力が不可欠」という皮肉

 

状況を絶望的なまでに複雑にしているイスラエルの姿勢

ただこのまま出口が見えない状態で戦争が長期化すると、実際に困るのはイランではなくアメリカだと思われます。

アメリカ側に弾切れの危険性があることと、実際に米兵の犠牲が増えていること、そして秋の中間選挙に向けて支持層離れが進んでいることなどが複次的に絡み合って、袋小路に追いやられ始めています。

イスラエルについては、口では“単独でもイランと戦える”と豪語するものの、イランによる弾道ミサイルとドローンを用いた波状攻撃により、すでに主要都市に大きな被害が出ていることと、ガザ、ヨルダン川西岸地域、レバノン、イエメン、そしてイランと複数の戦端を開いてしまっていることから、継戦能力に大きな懸念が生じ始めているようです。

イスラエルが戦争を止めるとしたら、アメリカからの支援を失って最終的に軍事的な敗北を喫するか、ネタニエフ首相と極右の仲間たちがイスラエルにおいて排除されて、次の政権が停戦を持ち掛けるようなシナリオしか思い浮かびませんが、そのような状況に陥る可能性はいかほどでしょうか?

個人的には、いろいろとアメリカ政府関係者とも協議する中で、アメリカに名誉ある撤退をぜひお勧めしており、具体的な方法・幕引きの方法について急ぎ協議が行われているところですが、そのための絶好の機会を見いだせずにいるのも事実です。

いろいろあっても、もしイラン側がパキスタンのイスラマバードに代表団を送り、バンス副大統領をヘッドにするアメリカ側との協議が実現していたら、何かのブレイクスルーが可能だったかもしれませんが、その機会も失われているように感じます。

その背景にはイラン国内での勢力争い・主導権争いの激化があります。ペゼシュキアン大統領とアラグチ外相に代表される協議を通じた解決を模索するグループと、革命防衛隊に代表されるハードライナーで、かつホルムズ海峡を武器として用いる一派の間で、意見と方針の一致が見いだせず、結果としていろいろな意見が錯綜し、一致した立場での協議に臨む基盤が構築できないという事情があるようです。

そこに状況を絶望的なまでに複雑にしているのが、イスラエルの姿勢と“今こそ、イランや周辺諸国を潰す絶好のチャンス”と考えて攻勢を強めている現実です。

もしかしたらベストな解決策は、トランプ大統領とネタニエフ首相を権力の座から引き摺り下ろし、新しいリーダーの下、停戦協議を行うことだと考えますが、その代わりにトランプ大統領を煽てて(ルッテNATO事務局長が行うように)、トランプ大統領に「やはり世界をまとめ上げ、真の平和と安定を実現できるのは自分しかいない」と言い放つことができる環境を用意し、近代史における危機勃発時にアメリカ政府が行ってきたように、世界をまとめあげ、強引にでも多国間協調をベースとした新国際秩序を構築させることではないかと感じています。

イラン情勢が緊迫化し、世界経済への大きな打撃が顕著になる中、ワシントンDCを訪れ、日米首脳会談を決行した際、高市総理が「世界中に平和と繁栄をもたらすことができるのは、ドナルドだけ」と発言したことは、ただのお世辞やヨイショではなく、現在、そこにある世界的危機を解決するための方法を示したのではないかと考えます(買いかぶりすぎでしょうか?)。

このメルマガが皆さんの手元に届く頃には、私は土曜日からのニューヨーク行きに備えて、いろいろ事前協議を行っていることと思いますが、来週、ニューヨーク滞在中によいサプライズに出会えるように、しっかりと準備しておきたいと思います。

以上、今週の国際情勢の裏側のコラムでした。

(メルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』2026年4月24日号より一部抜粋。全文をお読みになりたい方は初月無料のお試し購読をご登録下さい)

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