日本が「国家の品格」を捨てて“カネ儲け”へ。殺傷兵器の輸出を“成長戦略の主軸”に据えた高市内閣「かなり危うい発想」

 

野田佳彦こそが「全面解禁」への扉をこじ開けた張本人

その後、この佐藤+三木の「武器輸出3原則等」(という言い方を役人はしている)は、米国との兵器共同開発に伴う例外規定などが付け加えられることはあっても、その根幹はまさに平和国家=日本の生き方を象徴するものとして尊重されてきた。

大きな転機が訪れたのは民主党政権の時代で、鳩山・菅直人両政権で防衛大臣を務めた北沢俊美が防衛省官僚の手先と化して、鳩山が提起した沖縄・普天間海兵隊基地の県外・国外移転構想の足を引っ張る一方で、武器輸出3原則の見直しによる兵器輸出拡大の方針を新防衛大綱に盛り込もうと画策した。

これは流石に頓挫したものの、菅の後を継いだ野田佳彦首相は就任早々から強い意欲を見せ、2011年12月27日の安全保障会議で、原則として全ての武器や関連技術の輸出を(条件付きながらも基本は)大胆に緩和する「新基準」へと舵を切った。

この日、藤村修官房長官の談話として発表された「新基準」は次の通り。

▼米国や、日本と安全保障面で協力関係にある米国以外の諸国と防衛装備品の国際共同開発・生産を進めていくことで、最新の防衛技術の獲得などを通じ、日本の防衛産業の生産・技術基盤を維持・高度化するとともに、コスト削減を図っていくべきである。

▼平和貢献・国際協力に伴う案件については、防衛装備品の海外移転を可能とする。その際、相手国政府への装備品供与は、日本政府による事前同意なく目的外使用や第三国移転がないことが担保されるなど厳格管理を前提とする。

▼国際共同開発・生産は、日本の安全保障に資する場合に、日本と安全保障面で協力関係にある国と実施する。目的外使用や第三国移転には日本政府の事前同意を義務付ける。日本の安全保障に資する場合や、国際共同開発・生産における日本の貢献が相対的に小さい場合で、かつ、第三国がさらなる移転を防ぐ十分な制度を持たない限り事前同意はしない。

▼武器輸出三原則は、国際紛争等を助長することを回避するという平和国家としての基本理念に基づく。これ以外の輸出は、引き続き三原則に基づき慎重に対処する。……

まあ一応、3原則を捨てるとは言わず、それを維持していくようなことを言ってはいるが、敢えて「武器輸出」と言わずに「防衛装備品の海外移転」と言い換えた上に、輸出できる場合とできない場合を併置してみせたところに、野田の意図が集約されている。

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