日本が「国家の品格」を捨てて“カネ儲け”へ。殺傷兵器の輸出を“成長戦略の主軸”に据えた高市内閣「かなり危うい発想」

 

かくして咲いてしまった「武器輸出解禁」という毒花

実際、平成24(2012)年12月に野田から政権を禅譲された安倍晋三は、14年4月1日、その言葉遣いまでそっくりに「防衛装備移転3原則」を閣議決定した。これによってそれまでの「原則としてやらないため」の3原則は「原則としてやるため」の2原則と、それでもダメな場合の1原則とを合わせた「3原則」に入れ替わったのだった。

そして、その「やるため」の2原則の2番目にまだ残されていた強烈な制約条件を、このたび高市早苗が取り払ったのである。

安倍の新3原則は次の通り。

1.次の場合は海外移転を認めない。
・日本が締結した条約や国際約束に違反する場合
・国連安保理事決議に違反する場合
・紛争当事国(武力攻撃が発生し、国際の平和及び安全を維持し又は回復するため、国連安保理がとっている措置の対象国)への移転となる場合

2.次の場合は海外移転を認める。
・平和貢献・国際協力の積極的な推進に資する場合。
・日本の安全保障に資する場合。
・米国を始め日本との間で安全保障面の協力関係がある諸  国との国際共同開発・生産の実施
・米国を始め日本との間で安全保障面の協力関係がある諸国との安全保障・防衛分野における協力の強化
・装備品の維持を含む自衛隊の活動及び邦人の安全確保

3.運用指針における「5類型」のみ認める。
・救難・輸送・警戒・監視・掃海に係る協力に関する海外移転

2.でせっかく「原則として武器輸出をやる」ことにしたのに、次の3.が「5類型のみ」という余計な限定条件を付けていたが邪魔だった。それを高市が外し、武器禁輸の80年を超える歴史に終止符を打ったのである。

次に始まるのは?もちろん「落ちぶれていく日本」の歴史である。

なお、野田がこの「武器輸出」だけでなく、集団的自衛権解禁=安保法制、オスプレイ配備、尖閣国有化=中国との関係のほぼ断絶、原発再稼働、TPP、消費増税など、第2次安倍政権で起こった悪いことのほとんどを準備した上で自民党に政権を譲り渡した元凶であったことについては、2016年9月22日付の「日刊ゲンダイ」コラム(『安倍政権時代/空疎な7年8カ月』=花伝社、20年10月刊、P.255)を参照のこと。

このときに野田は負けるとわかっている総選挙を安倍にプレゼントし、旧民主党の同志173人をむざむざ落選させ地獄の苦しみに突き落とした。そして2026年1月には安易な「中道改革連合」結成で衆院選に臨み、今度は旧立憲の同志127人を殺した。

野田の下で旧民主党は2度死に、そして多分蘇ることはない。その死屍累々の上に、「武器輸出解禁」という毒花が咲いたのである。

(メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2026年4月27日号より一部抜粋・文中敬称略。ご興味をお持ちの方はご登録の上お楽しみください。初月無料です)

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早稲田大学文学部卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。現在は半農半ジャーナリストとしてとして活動中。メルマガを読めば日本の置かれている立場が一目瞭然、今なすべきことが見えてくる。

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