夫が急死したら年金は何年もらえる?令和10年度から激変する遺族厚生年金の新ルールと死亡加算の正体

 

遺族厚生年金を受給できる要件と金額の変更

遺族厚生年金を受給しようという時は、本人死亡時点で本人に生計を維持されていた配偶者に対して給付が行われます。

この生計を維持されていたというのはどういう場合を言うのでしょうか。

簡単にいえば、以下のようになります。

ア.死亡者と住民票が一緒だった(生計を同じくしていた) イ.本人死亡当時、配偶者の前年収入が850万円未満(もしくは前年所得が655.5万円未満)←これを収入要件という。

この2つを満たす場合が生計を維持されていたとなります。

本来はそうだったんですが、5年間の遺族厚生年金ではイの収入要件が撤廃されます。

生計を同じくしていれば遺族厚生年金を貰えるようになったんですね(他に保険料納付要件も満たす必要がある)。

なお、60歳以上で遺族厚生年金が発生する人は終身年金なので、収入要件は必要となります。 60歳以上で遺族厚生年金が発生する人は従来の遺族厚生年金と変わりありません。

ちなみに、遺族厚生年金と共に国民年金からの遺族基礎年金が発生する事があります。

遺族基礎年金は18歳年度末未満の子がいた時に「子のある配偶者」または「子」に発生する年金です。

この遺族基礎年金に関しては収入要件が必要であり、また、5年有期とはなっていません。 遺族基礎年金は従来の制度とほぼ同じと考えてもらえればいいです。

ここで注意が必要なのですが、もし遺族厚生年金と遺族基礎年金が発生した場合です。

遺族厚生年金と遺族基礎年金が受給できる際は遺族基礎年金が受給できている間は遺族厚生年金も受給する事ができます。

遺族基礎年金の受給権を失ってからは遺族厚生年金のみとなるので、遺族基礎年金を失ってから5年間が遺族厚生年金をもらう事ができます。 ここは注意ですね~

なお、この両者の年金を受給していた時に、遺族基礎年金の受給権を60歳以上になってから失った時はそれ以後の遺族厚生年金は終身となります。

遺族基礎年金を失った時に60歳未満だったら、そこから5年間が遺族厚生年金となります。

5年経って全額停止のまま2年が経過すると遺族厚生年金は失権します。

年金額は4分の4まで受給可能に

次に遺族厚生年金の金額ですが、今現在の制度では死亡者報酬比例部分の4分の3の額となっています。

しかし、5年間の有期年金ではその額に4分の1の「有期加算」というのが加算されます。

つまり、年金額が死亡者の報酬比例部分の4分の3ではなく、4分の4貰えるって事ですね。

5年間のうちに生活を立て直す期間なので、給付を手厚くする制度となっています。

そして、5年間の有期年金だった人が、65歳になると老齢厚生年金などを受給する事になると思いますが、その上に死亡加算という年金が生涯加算されます。

死亡加算というのは死亡した配偶者と婚姻期間の厚生年金記録を半分分けてもらう制度です。

なんか離婚分割と似てますね^^

例えば婚姻期間中に死亡者が稼いだ厚生年金記録が80万円であり、例えば妻はその間40万円稼いだとします。

すると80万円+40万円=120万円を半分にして、それぞれ60万円ずつにするのが離婚分割ですが、それと同じ事を死亡加算でやります。

妻は離婚分割のやり方で20万円の年金が増えたので、将来妻が老齢厚生年金を貰う時に、その上に20万円の年金を加算してもらいます。

将来の老齢厚生年金が50万円だったら、その上に死亡加算が20万円ついて合計70万円貰う事ができるという事ですね。 これは終身で受給する事ができます。

請求は5年有期年金が終わってから、5年以内に請求する必要があります。

年金は65歳以降に加算されます。

ただし、請求月の翌月からの年金となるので早めの請求をしたほうがいいですね。

縮小され25年後には廃止される中高齢寡婦加算

現制度に、夫死亡時に妻が40歳以上だった時に発生した遺族厚生年金に中高齢寡婦加算というものが加算される場合があります。 年額は令和8年度では635,500円となっていて、なかなか大きな額となっています。

中高齢寡婦加算は今後は令和10年4月2日以降に受給する人から25年間かけて金額が縮小され、令和35年(2053年)4月2日以降に受給する人からはもう受給する事が無くなります。

中高齢寡婦加算というものがどうして存在したのでしょうか。

遺族年金というのは昔の女性に配慮された制度設計になっていますが、遺族厚生年金ができた昭和61年当時は夫が就労し、妻が家の事をやるという家族構成が典型的でありました。 また、中高齢の女性は就労が難しく、就労ができても賃金が低いというような労働状況でした。

夫が死亡すると世帯の収入の低下を招き、その状態が将来にわたって続くものと見込まれたので、中高齢寡婦加算というものを遺族厚生年金に加算して年金額を補うものとされました。

でも現代は就労する女性も急増し、給与も上がってきているので中高齢寡婦加算の役割も低下し、廃止に向かう事となります。

というわけでザッと5年有期年金について述べてきましたが、論点は多いのでこれからちょくちょく遺族厚生年金について取り上げていきます。

では簡単に事例をここでは取り上げてみます。

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