米国とイランが進める協議に水を差すイスラエルの動き
一方、米国側は、【原油価格高騰によるガソリン価格の高騰】や【(ホルムズ海峡の封鎖による)物流の停滞が引き起こすインフレの再燃】、さらには【11月に予定される連邦議会中間選挙や、2028年の次期大統領選への影響への懸念の高まり】を警戒し、こちらも一刻も早く戦争を終えたいと考えています。
つまり双方とも、長期戦を避けたいのですが、miscalculated stand-offによって、そのための具体的な提案や行動を実行に移すことが出来ていません。
問題は、紛争における行動心理、特にリーダー層によくみられる行動心理の特徴なのですが、長期戦を避けたい国家ほど、短期的威嚇・超近視眼的威嚇を強める傾向がより鮮明になってくることです。
その結果、ドローン攻撃による攻撃や限定的な空爆の実施、サイバー攻撃の激化、そしてホルムズ海峡を舞台にした米・イラン両国の海軍の対峙および威嚇が増加し、その結果、偶発的衝突が起きる危険性が一気に高まります。
国際紛争において、本当に恐ろしいのは“綿密な計画の下で実施された戦争”ではなく、“偶発的な衝突という“事故”から始まる戦争“です。
偶発的な衝突に起因する紛争・戦争は、当事者たちの怒りの感情に後押しされ、不必要に状況をエスカレートさせていく傾向があるからです。
米・イラン間での協議が進められていることは、ポジティブな動きだと考えていますが、その出口を探そうとする動き・流れに水を差しているのが、イスラエルの動きです。
ネタニエフ首相がトランプ大統領を唆したかどうかは分かりませんが、米・イラン間で停戦・休戦の話が出て、具体的な条件が挙げられる度、イスラエルは米・イラン間の“合意”を覆すような行動を取って、イランを刺激し続けています。
最新の停戦案に“レバノンにおける戦闘停止”が含まれていると言われていますが、イスラエルは“ヒズボラ掃討”という旗印を掲げてレバノンへの部隊展開を強化し、イランを威嚇しています。
これは、ガザ和平を巡るイスラエルの行動とも一致します。
一応、直接的な戦闘は停止され、停戦が遵守されているというのが米国側の見解ですが、実際には散発的な攻撃は継続しており、加えてヨルダン川西岸地区へのユダヤ人入植地拡大が強行されており、これはヒズボラとハマス、そしてその背後にいるとされるイランを刺激し、戦争が終わらないように操作しているように見えます。
イスラエルの独断専行をアメリカ、または国際社会が阻止しない限りは、中東和平は絵に描いた餅になってしまいますが、それが現実的なオプションとして考えられているかは、非常に懐疑的です。
次に、すでに触れましたが、中東情勢の先を占う上で無視できないのがイスラエルの動きです。
今般の中東情勢を理解するうえで、絶対に見落としてはならないのがイスラエルの動きです。イスラエルの動きの“変化”を一言で表すとすると、【“抑止”から“先制的安全保障”への転換】と言えます。
現在イスラエルは、単にテロ対策としてガザやレバノンに対応しているのではありません。実際には【イラン主導の地域包囲網】と【イランを軸に形成されるネットワーク型脅威】を、今のうちに崩そうとしています。
具体的には、【レバノンのヒズボラ】、【イエメンのフーシ派】、【シリア内の親イラン勢力】、【イラクのシーア派民兵組織】、そして【ハマスに代表されるガザ地区の武装勢力】などの壊滅です。
イスラエル政府によると、これらは別組織ではなく、【複数方向から同時に圧力をかける一体型戦略を担う“イラン主導”の反イスラエル組織】として映っています。
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