「愛子天皇」実現を封じる高市早苗と麻生太郎。自民保守派が躍起になる皇室典範「改悪」が生みかねない“天皇制への不信感”

 

「Y染色体」という“科学的な衣装”をまとったシンボル

「男系継承」は神武天皇以来2,600年以上にわたる伝統であるという保守派の主張について、よく聞くのが「Y染色体論」だ。男性のみが持つY染色体は、父から息子へと受け継がれる。「男系男子」による継承を繰り返せば、理屈の上では神武天皇から今の天皇まで同じY染色体が引き継がれていることになる。

もし女性天皇が即位し、その子供が皇位を継承した場合、天皇の血を引いてはいても、初代から伝わるY染色体が途切れるため、「万世一系」が断絶するというわけだ。

歴史学的には雄略天皇以前、特に神武天皇の時代は「記紀神話」の世界であり、実在を証明する考古学的な証拠はない。だが、本居宣長のように、「古事記」に書かれている通りに歴史があると信じることに価値を置く思想では、神話上の人物から今の天皇までが一直線につながっているという「物語」こそが真実となる。「Y染色体」は、その物語を現代においても説得力を持って説明するための「科学的な衣装」をまとったシンボルにすぎない。

なにより問題なのは、今回の皇室典範改正案が世論と著しく乖離していることだ。自民や維新は、女性皇族が結婚後、皇室に残っても「その配偶者や子を皇族としない」とし、逆に、養子に迎えられた人の子には皇位継承資格を与えるべきと主張する。女系天皇の可能性を封じる狙いがあるのは明らかである。

高市首相は支持率への影響が心配にならないのだろうか。多くの国民は「愛子天皇」を望んでいる。その民意を汲むのも首相の仕事だ。女性である首相が、女性天皇の道を開くための法改正を実現するなら、それこそがレガシーになりうるのではないか。

小泉政権時代に「男女を問わず、長子優先にすべきだ」と女性天皇を容認した有識者会議のメンバーからは「皇位継承の安定を考えれば、いま議論しても同じ結論になるはず」という声が聞かれる。記者クラブを独占する大メディアは、高市政権の“改正ありき”の進め方にひとまずブレーキをかける必要があるのではないか。

むろん、最後の一線を越えるのは私たち国民だ。「気がついたら変わっていた」という結果を招かないために、皇室が何のためにあり、誰のために守られるべきなのかを、改めて自分自身の言葉で問い直す必要がありそうだ。

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image by: 宮内庁

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