トランプがネタニエフにぶつけた「お前は狂っている!」という苛立ち。変化し始めた米国とイスラエル“同盟の目的”

 

アジア安全保障会議で露見した「対米・対中不信」の高まり

これらが徐々につながり始めています。局所的問題が複数存在し、それぞれが別問題に見えても、ある時点ですべてが連結し、一気に地域危機へ発展するという、これまでに歴史上何度も見られたパターンをまた繰り返して大きな紛争に発展しそうな気配が強まっています。

もし東アフリカ地域の安定が崩れると、西アフリカおよび中央アフリカで繋がりつつあるクーデターベルトの動きと連動し、アフリカ全土に戦火が広がる可能性も否定できない状況になり、それが北アフリカに飛び火すれば、東アフリカ地域での混乱と合わさって中東地域の紛争と連鎖し、それがまた地中海を北上して欧州南部に伝播すると、欧州全体に広がりかねず、それが中東欧に至ると、ロシア・ウクライナ戦争と繋がり、それがまたトルコやイランを経由してしまうと…と、止めどない危険性を予感させる事態に発展してしまいます。

それをまたより深刻化させそうなのが、アルメニアを巡る中央アジア・コーカサス地域での緊張の高まりです。

アルメニアと言えば、長年、ナゴルノカラバフの領有権を巡ってアゼルバイジャンと戦ってきましたが、ナゴルノカラバフ紛争時に“軍事同盟”を結んでいたロシアが何一つ助けてくれず、アゼルバイジャンに敗北したことから、アルメニアのロシア離れと欧米への接近が鮮明になってきています。

旧ソ連の崩壊のショックから立ち直ったロシアが、再び旧ソ連圏の国々との同盟を強化しようとEAEU(ユーラシア経済同盟)という会議体を立ち上げており、ちょうど先週末から今週末にかけて、カザフスタンで首脳級の会談が開かれましたが、その場にアルメニアのパシニャン首相は来ず、いろいろな憶測を呼ぶ結果になっています。

この会議にはプーチン大統領も出席していますが、この場で参加国の首脳と“アルメニアの扱い”について議論したという情報が入っており、最近、EUへの加盟申請を出す計画を示したアルメニアに対して、ロシアが「EAEUに残るか、それともEUを選ぶのか。どちらも取るという選択肢はない」と選択を迫ったとのことです。

アルメニア政府によると、パシニャン首相は予てより議論に上っていた“EAEUからの脱退に関する国民投票の実施”という案を拒否したとのことですが、アメリカにも接近するアルメニアの最近の振る舞いに、ロシアは明らかなフラストレーションを抱いているようです。

大きなパワーハウスに挟まれた“中間国家”の苦悩と呼べるかと思いますが、世界の分断が進む中、中間国家が力による支配・力による外交の陣取り合戦の餌食にされつつあります(ちょうどこのメルマガを書いている最中に、パシニャン首相とプーチン大統領が協議していて、ロシアがアルメニアを引き留めるための策を示したという情報が入ってきました。果たしてどうなることやら)。

先週末から今週にかけての国際情勢に絡む重要な国際会議と言えば、通称シャングリラ会議と言われるアジア安全保障会議がシンガポールで開催されましたが、そこで参加国から対米・対中不信の高まりを感じました。

先日、北京で米中首脳会談が行われましたが、何一つ具体的なことは決まらず、明らかになったのは中国の台湾併合に対する並々ならぬ覚悟と、何かしら国内的な成果を欲しがるトランプ大統領の余裕のなさでした。

シャングリラ会議の様子を報告していたIISS(英国国際戦略研究所)によると、シャングリラ会議でアジア各国の防衛大臣が相次いで表明した懸念は、アメリカの中東傾倒により、アメリカのアジア太平洋地域におけるプレゼンスが著しく低下し、アメリカがアジア各国、特に東南アジア諸国に約束してきた“対中脅威からの防御”がフイにされるのではないかという不満と心配だったとのことです。

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