トランプがネタニエフにぶつけた「お前は狂っている!」という苛立ち。変化し始めた米国とイスラエル“同盟の目的”

 

現在進行中の多くの紛争の背景にある「国際秩序の空白」

実際に地域における中国の威嚇行為はエスカレーション傾向にあり、その懸念は、先日訪日していたフィリピンのマルコス大統領も高市総理に対して表明したと言われていますが、今のところ、何か具体的な対中戦略が講じられるという話は聞いておりません。

アメリカのヘグセス国防長官や日本の小泉防衛大臣、欧州各国の防衛大臣などが挙って参加した今年のシャングリラ会合は「中国抑止のための連携確認会議」という色彩が非常に強かったと言えますが、その背景で今後、アジア太平洋地域における安定を根底から揺るがしかねない問題として、タイ・カンボジア間の国境紛争による不安定化と経済回廊の遮断が挙げられていることも注目しなくてはなりません。

確か紛争の勃発から1年が経ち、米国の仲介の下、一応の停戦合意は履行されているものの、“停戦”後も、散発的な衝突が続いていることに加え、今も両国間の国境封鎖が解かれず、さらには海洋アクセスも遮断されているため、そこに形成されていたASEAN地域の経済・物流回廊が寸断されていることで、東南アジア全域の経済活動に支障をきたしていると言われています。

そこで一気に影響力を伸ばしているのが中国で、経済力を武器に、東南アジア諸国の分断を進めているという情報が入ってきていますが、ちょうどマルコス大統領に随行してきたフィリピン政府の友人も同様の懸念をシェアしてくれたことに鑑みると、事態は思いのほか、深刻化してきているのではないかと思われます。

タイ・カンボジア間のmulti-layerでの紛争については、本来、ASEANが憲章に基づいて問題解決に乗り出すのですが、現時点まで効果的な仲介が行われておらず、急遽、ここにきてMultilateral Mediation Initiativeに相談が持ち込まれている状況です。

ただ、これまでのところ、両国の主張に大きな隔たりがあり、かつ「いつ戦争が再開してもいいように」と、両国軍が警戒態勢・臨戦態勢を解いていないため、不必要に緊張が高まっている状況で、何らかの偶発的な事件が起きてしまうと、一気に全面的な戦争に発展する恐れがあり、ここで戦争がエスカレートしてしまうと、東南アジア諸国の経済活動に大きな悪影響を及ぼすため、ASEANと経済的なつながりが強い日本企業も、大きな影響を被る恐れが高まっています。

いろいろな国際情勢のパーツについて駆け足でお話ししてきましたが、最後に【なぜ世界各地で紛争が再燃し、勃発しているのか】について一つ大きな視点を共有したいと思います。

私は現在起きている多くの紛争の背景に、【国際秩序の空白】があると考えています。

冷戦後の約30年間、好む好まざるに関わらず、世界は米国中心の秩序の下で動いてきました。しかし現在、明らかにその秩序が弱まりつつあります。

ここで私たちが懸念すべき問題は新しい秩序がまだ存在しないことです。

【古い秩序は弱まった。しかし新しい秩序は完成していない】この過渡期こそ最も危険です。

それは、すでに私たちが目にしているように、各地域の“われこそは”と考えるプレーヤーたちが「今なら動ける」と考え始め、自らの“欲”を拡大するために動き始めるからです。

米中ロという“大国”はもちろん、イスラエルも、イランも、アルメニアも、アゼルバイジャンも、恐らくグローバルサウスの国々も、それぞれに自国ファーストの欲の下、動き始めているのが、現在の複雑に絡み合った国際情勢の姿です。

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