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終わらないロシア・ウクライナ戦争

ロシアとウクライナの戦争も、新しい段階に入りつつあります。 ロシア・ウクライナ戦争は【終わらない戦争】への道をひたすら進んでいます。 停戦交渉は行き詰まり、そこにあるのは消耗する二つの国の現実です。

トランプ政権は就任以来、停戦仲介を加速させました。UAEの首都アブダビや、スイス・ジュネーブと交渉の場を重ね、 今年5月9日のロシア戦勝記念日には米の仲介で3日間の停戦と双方1,000人ずつの捕虜交換も実現しました。

しかしこうした「部分的な成果」が本格的な停戦への足がかりになっているかと言えば、現実は異なります。

問題の核心は、双方の要求が根本から相容れないことです。 ロシアはクリミアを含む占領5地域のロシア編入の国際承認と、 ウクライナのNATO加盟断念・非軍事化を絶対条件としています。 一方のウクライナは現在の接触線を交渉の出発点とし、主権と独立を犠牲にする合意は受け入れないと主張しています。 この溝を埋めるものは、現時点では何もありません。

戦場でも状況は膠着しています。 ロシア軍は多くの正面で前進を試みているものの、ウクライナ軍の反撃を受けて後退する局面もあり、 決定的な突破口を開けていません。

一方のウクライナもロシアを押し返す力は持っていません。 その間にも、ロシアのドローン攻撃はむしろ激化しており、 2026年に入ってからは月4,000~6,000回もの攻撃がウクライナに打ち込まれています。 エネルギーインフラへの被害が積み重なる中、ウクライナ市民の生活は4度目の冬を過ぎてなお極限状態が続いており、確実に国内では厭戦機運が高まっています。

さらにロシアの継戦体制を下支えし、戦争をややこしくしているのが、北朝鮮との深化する軍事連携です。 北朝鮮による協力は、兵器・砲弾の供与にとどまらず、北朝鮮軍の実戦投入も事実上明らかになりました。 北朝鮮はロシアから軍事技術の供与やエネルギー支援を受ける見返りに、 人員と兵器を提供するという取引が定着しつつあります。

ロシアにとって北朝鮮は、もはや単なる“継戦のツール”を超えた長期的な同盟国になりつつあります。 (そして北朝鮮は、ロシア・ウクライナ戦争での実戦経験を軍に積ませることで、軍の能力向上を手に入れ、 かつロシアからのノウハウの提供を受け、弾道ミサイルおよび核弾頭の小型化技術を獲得して、 着実に、でも急速に軍事力を、量・質ともに向上させています。これは、日本にとっては脅威の拡大を意味します。)

一方、注目すべきはロシアの経済実態です。 2023~24年は軍需拡大を背景に実質GDP成長率が4~5%に達していたロシア経済ですが、2025年は1%にまで急失速し、 今年に入って【軍事スタグフレーション】という言葉が飛び交うようになりました。

軍需が民需を圧迫し続ける中、軍需自体の景気けん引力も剥落しつつあるのが現状です。 IMFやロシア中央銀行も2026年のロシアの経済成長率を1%前後と予測しており、 高インフレと財政赤字が国民生活に重くのしかかっています。

ただ、ロシアの場合、ここに重要な逆説が存在します。 ロシア経済は弱りつつあるのは確かですが、しかし弱っているからといって、戦争を終える方向に振れるわけではありません。 プーチン大統領にとって最優先事項は国民の支持を繋ぎ止めることであり、戦争に負けた大統領は政権を失います。 ゆえに、経済的に苦しくなっても、いくら人的な犠牲を出しても、政治的に負けを認める選択肢はないのです。

これはウクライナ、そしてゼレンスキー大統領にとっても同様です。 ロシアの領土要求を飲めば国家としての独立が失われるため、戦い続けるしか選択肢はありません。

こうして見てみると分かるように、この戦争は、ロシア・ウクライナ双方にとって、 “勝利”のためではなく、“敗北を避けるために続いている戦争”です。 そして双方が“今やめる理由”を持てない限り、停戦交渉がどれだけ行われても、前線での消耗戦は続くでしょう。

その結果、ロシア・ウクライナ共に止め時を見つけられずに、ひたすら惰性のように戦い続けるしかなくなっているため、 停戦の機運は、しばらくは訪れないと考えます。

この記事の著者・島田久仁彦さんのメルマガ

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