■ロシア史に残る「悪役」の予言はどこまで的中し続けるか
「北朝鮮のやり方を見習う必要がある」という発言についても、経済の軍事シフトやネット空間の統制、そして北朝鮮による万単位の派兵という形で、ロシアの「北朝鮮化」が着実に進んでいます。
兵員損耗の悪化も、プリゴジン氏は予見していたとされます。英国防省の推計では、ロシア軍の月間死傷者は2023年の平均約2万人から、2025年には約3万5,000人にまで増加しました。
米戦争研究所(ISW)は、戦果の誇張が現場から最高指導部に上がる構造的な問題として、2024年から26年にかけて一段と顕在化していると分析しています。
「忖度に基づく虚偽の戦況情報が最高指導部に上がり、誤った命令につながる」
これは軍事組織に限らず、あらゆる大きな組織が陥りうる病理だと、私は思います。上に立つ者が本当のことを聞けなくなったとき、組織はもっとも脆くなるのです。
プリゴジン氏が語った最も踏み込んだ予言は、貧困層出身の兵士が大量死する一方でエリート層が利権で肥え太る構造が、「1917年のロシア革命のように、革命によって終わる可能性がある」というものでした。これについては、論説が執筆された8月25日時点でも、まだ実現していないとはっきり書かれています。深刻な兵員不足を受け、今秋にも市民への大規模動員令が出るとの観測もありますが、これもあくまで観測の域を出ません。
開戦から4年半が過ぎ、プーチン氏が政変防止のために重視してきた首都モスクワなど都市部の市民生活にも、燃料不足やインフレといった戦争の影が広がりつつあることは事実です。
ロシア史に残る「悪役」による死の直前の予言が、どこまで的中し続けるのか。それは今後数カ月の展開を見なければ分かりません。
皆さんに申し上げたいのは、交渉相手のテーブルに「誰が座っているか」を、常に意識していただきたいということです。相手側の代表団に、政治家だけでなく情報機関や軍の関係者が同席し始めたら、それは交渉の性質そのものが変わったサインかもしれません。
「条件を詰める段階から、相手が持つ情報量を前提とした駆け引きの段階へ」
この転換を見誤ると、こちらだけが旧来の交渉モードのまま取り残されることになりかねません――(メルマガ『最後の調停官 島田久仁彦が読み解く国際情勢の裏側戦略インテリジェンス・レポート』2026年8月28日号より一部抜粋。全文をお読みになりたい方は初月無料のお試し購読をご登録ください)
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