■兵士不足を技術で補うウクライナが変える戦争の性格
そんな中、ウクライナは8月24日の独立35年記念日に、兵士や戦車の代わりに、ドローン部隊を中心とする軍事パレードを実施しました。実戦投入されている陸海空のドローンおよそ100機が参加し、水上ドローンがドニプロ川を航行、無人地上車両が首都キーウの中心部を走行したといいます。
ウクライナ大統領府は、ウクライナ国内で初めてのドローン中心の軍事パレードだったと発表しており、ウクライナ側は世界初とも位置づけています。ゼレンスキー大統領は「完全に新しい防衛産業を築き上げた」と強調し、この分野で蓄積した技術と知見を、パートナー諸国に提供する用意があると表明しています。
「兵士不足という制約を、技術で補う」
この転換自体が、この戦争の性格を変えつつあると私は見ています。
英国も動きました。8月24日、バーナム英首相はマクロン仏大統領、メルツ独首相とともにキーウを訪れ、ウクライナ支援有志国連合の会議に出席しています。
英国政府は同日、長距離巡航ミサイル「ストームシャドー」(フランスでは「スカルプ」と呼ばれます)の現地生産に向け、搭載される英国製部品の機密情報を開示すると発表しました。バーナム首相は「英国が必要とされる限り、ウクライナ国民の味方であることに疑いの余地はない」と述べています。
一方でロシア側は、フィンランドのストゥブ大統領がウクライナによるロシア領内攻撃を支持したことについて、同大統領を「戦争派」だと非難しました。ペスコフ報道官は「わずか数週間前にフィンランド大統領がロシアとの関係正常化の必要性に言及していたことを考えれば、驚き以外の反応はあり得ない」と語っています。
支援する側と支援される側、双方の姿勢が、少しずつ先鋭化しているように見えます。
今週のロシアについては、少し違う角度からの論考もご紹介しておきます。日本経済新聞・中外時評(8月25日付、田中孝幸論説委員)が興味深い視点を提示していました。
ワグネル創設者で2023年8月に航空機事故で死亡した(暗殺説もあります)エフゲニー・プリゴジン氏が、武装反乱直前の2023年5月に語った見通しが、結果的に的中し続けているという指摘です。あくまで論説委員の切り口であり、当時の発言をどう位置づけるかには幅があることを前置きした上でご紹介します。
プリゴジン氏は当時、「ウクライナ軍はミサイル供与と部隊訓練を受け攻勢を続け、クリミア橋を狙い、我々の補給路を断つ」と予測していました。実際にウクライナはこの3年でドローンとミサイルの生産能力を驚異的なペースで引き上げ、ロシア領内の製油所や物流拠点への長距離攻撃を続けています。
先ほど触れたオムスク製油所への攻撃は、まさにこの延長線上にある出来事です。
プリゴジン氏は「ウクライナの非軍事化を目指した結果、逆にウクライナを軍事化してしまった」とも語っており、この指摘も的中したと論説は評価しています。
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