トランプは中国を本気で締め上げに行くのか?「いかなる者も例外とはならない」対イラン制裁の“限界と現実”

 

■攻撃の応酬で拡大の一途をたどる民間人の犠牲

ロシアの軍事系ブロガーたちの反応も割れています。一つ目は、米国がウクライナ支援を見直す条件交渉に入ったという、いくぶん願望めいた解釈です。二つ目は、ロシア側が何らかの譲歩案を提示し、米国がそれを真剣に検討し始めたという解釈。三つ目が、ラトクリフ氏は最後通牒を携えて来たのではないか、という見方です。

あるロシア系チャンネルは、これまで交渉を担ってきたウィトコフ氏やクシュナー氏を「外交的道化師」と揶揄し、情報機関トップは「重大な力を代表する人物だ」と評しています。言葉遣いの是非はさておき、分析の切り口としては的を射ていると思います。

いずれにせよ、これらはすべて未確認の憶測であり、事実として確定しているわけではないことは、はっきり申し上げておきたいと思います。

実は、Reutersがもう一つ気になる経路情報を報じています。米国は今回の高官訪露に先立ち、ウクライナ側に訪露の事実を通告し、ロシア滞在中は同国内の一部地域への攻撃を控えるよう要請していたといいます。これが事実であれば、単なる非公式訪問以上の重みを、米国側がこの訪問に置いていたことを示唆します。

もっとも、当事者による公式な確認は得られていません。

この間も、戦場の力学は変わらず動いています。ウクライナはロシア領内への長距離攻撃を強め、今年4月からはロシア奥地の重要インフラを狙う攻撃を本格化させました。モスクワ近郊をはじめ各地の製油所を攻撃し、7月にはウクライナ国境から2,500キロ離れたロシア最大級のオムスク製油所にまで打撃を与えています。さらにウクライナは、ロシアの通販最大手級であるオゾン社の物流拠点にも攻撃を広げ、8月24日までの3日間、連続してドローン攻撃の被害が出ました。

ロシア政府はこれを受けて、安全対策が不十分な重要インフラを政府の管理下に置くことを可能にする大統領令を発表しています。プーチン大統領は8月22日の国営テレビのインタビューで、ウクライナがロシア経済の弱体化を試み「パンドラの箱を開けた」と述べ、報復と称して攻撃を強めると警告しました。

こうした攻撃の応酬は、民間人の犠牲を確実に拡大させています。国連ウクライナ人権監視団によれば、7月にウクライナで死傷した民間人は死者437人、負傷者2,610人にのぼり、前月から3割、前年同月から7割増加したといいます。

ロシア外務省は逆に、7月のウクライナの無人機攻撃でロシア側の民間人201人が死亡、1,441人が負傷したと主張しています。数字の出所によって食い違いはありますが、どちらの主張を採るにせよ、民間人の犠牲が拡大の一途をたどっているという方向性そのものは動きません。

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