■じわじわと広がりつつある世界市場への影響
圧倒的な軍事力を持つはずの米国が、安価な無人機によって配置の見直しを迫られているという、この非対称性こそ、今回の衝突が浮き彫りにした構造だと私は考えています。
「大きな力を持つ側が、必ずしも交渉のテーブルで優位に立てるとは限らない」という現実は、紛争調停の現場でも繰り返し確認されてきたことです。
守るべきものが多い側は、それだけ選択肢が狭まり、身軽な側のほうがかえって自由に動けるものです。
市場への影響もじわじわと広がっています。
船舶保険各社は、ペルシャ湾内から積み出してホルムズ海峡を通る航路について、戦争リスク特約の保険料を大幅に引き上げています。フーシ派による攻撃でバベルマンデブ海峡の通航も細っており、代わりに喜望峰を経由する迂回ルートを取る船が増えていることも、コスト全体を押し上げる一因になっています。
原油そのものの値段よりも、その原油を安全に運ぶための保険の値段のほうが、今は交渉の焦点になっている、そういう逆転が起きているのだと思います。
日本の電力会社や商社は、この数か月、調達先の分散を急いでいますが、ホルムズ海峡を経由しない航路には限りがあり、根本的な代替にはなっていません。エネルギーの安全保障を、遠い中東の情報の非対称性に委ねざるを得ない、この構造そのものが、日本にとっての宿題だと私は考えています。
自前でエネルギーを賄えない国は、どうしても他人の戦争の情報戦に振り回されます。これは今に始まった弱点ではありませんが、今週ほどその弱点がむき出しになった週も、そう多くはなかったように思います。
【3.入植地から始まった経済制裁-孤立するイスラエル】
3つ目の現場は、イスラエルです。
9月8日、英国、フランス、カナダに、デンマーク、フィンランド、アイスランド、アイルランド、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、スペイン、スウェーデンを加えた12か国の外相が、ヨルダン川西岸のイスラエル人入植地で生産された製品の輸入を制限する共同声明を発表しました。
英国、フランス、カナダの3か国は即時の国内措置に踏み切り、残る9か国は支持または検討にとどまるという段階的な足並みです。
引き金となったのは――(メルマガ『最後の調停官 島田久仁彦が読み解く国際情勢の裏側戦略インテリジェンス・レポート』2026年9月11日号より一部抜粋。全文をお読みになりたい方は初月無料のお試し購読をご登録ください)
【島田久仁彦さんイベント告知】
米国の中間選挙まで、残り2カ月。トランプ大統領が勝てば世界はどう動き、負ければ何が変わるのか。今週号で見てきた「相手の本気度を試す」各国の駆け引きも、この選挙の結果次第で局面が大きく変わってきます。
9月19日(土)13時から、オンライン・ウェビナー「米国中間選挙まで2カ月、トランプが勝つか負けるかで世界はどうなる?」を、私自身が登壇して緊急開催いたします。
第一部では、戦争や関税を通じて他国を揺さぶり続けるトランプ大統領の一連の動きを、11月の中間選挙という視点から読み解きます。
楽観的な見方から最悪のシナリオまで、メルマガの紙面には書ききれない部分にも踏み込むつもりです。
第二部はQ&Aコーナーです。チャットからは匿名でご質問いただけますので、身元を気にせず、普段気になっていることをそのままぶつけてください。
- 日時:2026年9月19日(土)13時から14時30分(Zoom開催、約1時間30分を予定)
- 参加費:3,300円(税込)
- 見逃し配信:あり(配信日翌日を目処に視聴URLをお送りします)
- 主催:株式会社まぐまぐ
詳しい内容・お申し込みはこちらから。
【緊急開催】島田久仁彦さんウェビナー「米国中間選挙まで2ヶ月、トランプが勝つor負けると世界はどうなる?」
画面越しではありますが、皆さんと直接お話しできる貴重な機会です。当日お会いできるのを楽しみにしております。
この記事の著者・島田久仁彦さんの新創刊メルマガ
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