知っているつもりでも間違えやすい尊敬語、謙譲語、丁寧語。でも「忙しくて勉強している時間なんてない!」というみなさんのために、無料メルマガ『仕事美人のメール作法』の著者である神垣あゆみさんが、最低限これだけ覚えておけば大丈夫というポイントをわかりやすい例文とともに紹介して下さいました。
敬語の使い分け
敬語には、「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」の3種類があります。今一度、おさらいしてみましょう。
・尊敬語は、相手に対する敬意を表すもので、主語は相手。相手の動作や存在を高める言い回しです。
・謙譲語は、自分をへりくだることで、相手に敬意を表すもので主語は自分。
自分の動作や存在を低めて、動作が向かう先の相手を高めます。
・丁寧語は、相手への敬意を込めて、動作や存在を丁寧に、あるいは上品に言い表すものです。
「行く」の敬語
例えば「行く」という言葉を尊敬語・謙譲語・丁寧語で書き表すと次のようになります。
「行く」の尊敬語 = いらっしゃる
例)部長が次に本社にいらっしゃるのはいつですか?
※ほかに「おいでになる」「お越しになる」も使います。
「行く」の謙譲語 = うかがう
例)明日の14時に打ち合わせにうかがいます。
※ほかに「まいる」も使います。
「行く」の丁寧語 = 行きます
例)展示会には15時に行きます。
「来る」の敬語
「来る」の尊敬語 = 見える(お見えになる)
例)昨日、会長がお見えになりました。
※ほかに「いらっしゃる」「おいでになる」「お越しになる」も使います。
「来る」の謙譲語 = まいる
例)本社へは昨日、まいりました。
※目上の相手が「来る」ことを敬語で表すとき尊敬語と謙譲語を取り違えやすいので注意しましょう。
× 会長が本社へまいられました。
○ 会長が本社へいらっしゃいました(おいでになりました・お越しになりました)。
※来客のために自分が頼んだ車が来る場合は……
迎えの車が10時に来ます。
↓
お迎えの車が10時にまいります。
「来る」の丁寧語 = 来ます
例)本社から荷物が来ます。
「言う」の敬語
「言う」の尊敬語 = おっしゃる
例)部長がおっしゃる通りです。
※「言う」の尊敬語「おっしゃる」に、さらに尊敬の「られる」を付け「おっしゃられる」とするのは過剰な敬語です。
× 社長がおっしゃられていました。
○ 社長がおっしゃっていました。
「言う」の謙譲語 = 申しあげる、申す
例)恐れながら、申しあげます。
例)担当の佐藤と申します。
※「申しあげる」も「申す」も、目下の者が目上の相手に何か言うときに使う謙譲語ですが、社外の相手に社内の人が言っていたことを伝える場合にも使います。
例)田中様にぜひお願いしたいと、山田が申しております。
「言う」の丁寧語 = 言います
例)私から言いますので、ご心配なく
「する」の敬語
「する」の尊敬語 = なさる
例)その件については、部長がお話をなさいます。
※「する」の尊敬語には「される」もありますが、相手から何かをされる、という受け身の意味に受けとれることもあります。
例)何をしたのか? → 何をされたのですか?
尊敬語として書いたつもりでも、相手が受け身の意味で捉えると紛らわしいので「される」より「なさる」を使う方が伝わりやすいです。
例)何をしたのか? → 何をなさったのですか?
「する」の謙譲語 = いたす
例)彼には私から話をいたします。
準備は弊社でいたします。
※「いたします」の形で用いることが多いです。
「する」の丁寧語 = いたす
例)1セット500円いたします。
現地集合といたします。
今回取り上げた動詞「行く」「来る」「言う」「する」はメールでもよく使いますが、敬語に書き換えるときに尊敬語と謙譲語を混同したり、取り違えたりすることがあるため使い分けを改めて取り上げてみました。
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