ついにAmazonプライムの加入者が世界で1億人を突破しました。今回は米国での普及状況をデータで確認し、今後の成長ポテンシャルとなる海外市場について解説します。(『決算が読めるようになるノート』シバタナオキ)
※本記事は有料メルマガ『決算が読めるようになるノート』2018年5月15日号の抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
SearchMan共同創業者。東京大学大学院工学系研究科技術経営戦略学専攻 博士課程修了(工学博士)。元・楽天株式会社執行役員(当時最年少)、元・東京大学工学系研究科助教、元・スタンフォード大学客員研究員。
米家庭の64%が「Amazonプライム」に加入。圧倒的な成長力とは
13年かけて利用者を増やしてきた
先日、AmazonのCEOジェフ・ベゾスから株主に宛てたレターの中で明らかになったように、 「Amazon プライム」の加入者がグローバルで1億人を突破しました。
Amazon shipped more than five billion items with Prime worldwide, and more new members joined Prime than in any previous year
株主へのレターにはこのように書かれていますが、Amazon プライムがリリースされたのは13年前で、13年という長い月日をかけて、グローバルでついに1億人を突破しています(ちなみにNetflixの有料会員数は1.2億人超となっています)。
今日の記事では、Amazon プライムがアメリカでいかに普及しているか、というのをデータで比較した後に、Amazon プライムの成長ポテンシャルとなるマーケットについて、簡単に触れてみたいと思います。
大統領選挙の投票率よりも高いAmazonプライム加入率
context on the scale of @amazon prime (h/t @joshk) pic.twitter.com/aj7aZyFnDa
— Phin Barnes (@phineasb) 2018年4月19日
この数字を見て非常に驚きました。
アメリカでは64%の家庭でAmazon プライムに加入している、というデータがあります。
参考までに他のデータを列挙しておくと、
・5万ドル以上の資産を保有している人も55%
・教会に行ってお祈りする人が51%
・固定電話を契約している人が49%
・銃を保有している人が42%
となっています。
選挙の投票率よりも高い普及率を誇っているという点で、個人的には非常に驚きました。
Next: メキシコ、シンガポールで新展開。今後の成長ポテンシャルは?
Amazonプライムの今後の成長ポテンシャル
今後のAmazonプライムの成長ポテンシャルはどこにあるのでしょうか。
株主へのレターの中でこのような記載がありました。
2017年に新たにAmazon プライムが開始された国として、メキシコ、シンガポール、オランダ、ルクセンブルクが挙げられています。
今日はこの中でも、メキシコ、シンガポール、そして成長著しいインドのeコマース事情を簡単に整理してみたいと思います。
「メキシコ」のeコマース事情
メキシコにおけるAmazonの売上は、17年時点で$502M(約502億円)と、YoY+106%で成長したと言われています。
※参考:Amazon becomes Mexico’s top online retailer in 2017: report
これによってAmazonは、メキシコでのeコマースプレイヤーの市場シェアが1位になったと推定されています。
以前の記事でも書きましたが、メキシコは現金での決済を好むユーザーが未だに80%もいるという、eコマースと非常に親和性が低い国ではありますが、そんな中でも Amazonが大きく健闘していることがよく分かると思います。
「シンガポール」のeコマース事情
シンガポールで Amazon Prime Nowがリリースされて以来、3日間でアプリが11,000ダウンロードされ、Amazon Prime Nowの2時間以内の配達というのが人気になっています。
※参考:How Amazon pulled off its biggest Prime Now launch ever
シンガポールは、東京のように非常にコンパクトなエリアに約550万人の人が住んでおり、Amazon プライムやAmazon Prime Nowといったサービスの必要性が非常に高い地域だとも言えます。
Amazon はシンガポールにおいて、10万スクエアフィート(約9,000平方メートル)の、世界最大のAmazon Prime Now専用の物流施設を構えて、このたった1つの物流施設でシンガポール全体に商品を届けています。
Next: これからまさに爆発しようとしている「インド」のeコマース
「インド」のeコマース事情
インドのeコマースは、これからまさに爆発しようとしています。2017年時点で2%しかなかったEC化率が、2026年には12%になり、eコマース市場は$200B(約20兆円)を超えると推計されています。
※参考:Morgan Stanley explains why India’s e-commerce market is a hot investment opportunity
現時点ではインターネットユーザーのうち、14%しかeコマースで買い物をしていませんが、この数字は中国の64%と比べると圧倒的に低い数字になっており、まだまだ成長ポテンシャルが大きいことがよくご理解いただけると思います。
Amazonは現在インドで1.6億商品を販売しており、アメリカでの商品数4億商品に比べると、まだ成長余地が大きいとも言えます。
eコマース関連アプリのダウンロード数ランキングを見ると、Amazonは現在2位となっており、まだまだFlipcartやSnapdealとの競争が激しいとはいえ、十分良いスタートを切れていると言えるのではないでしょうか。
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