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スマホ世界出荷台数はマイナス成長へ。王者Appleとアプリ業界はどう動く?=シバタナオキ

世界出荷台数が前年比でマイナスに転じるなど、スマホ業界が大きな転機を迎えています。人気機種やアプリ業界の現状をデータで見ながら、今後のトレンドを考えてみましょう。(『決算が読めるようになるノート』シバタナオキ)

※本記事は有料メルマガ『決算が読めるようになるノート』2018年5月22日号の抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:シバタ ナオキ
SearchMan共同創業者。東京大学大学院工学系研究科技術経営戦略学専攻 博士課程修了(工学博士)。元・楽天株式会社執行役員(当時最年少)、元・東京大学工学系研究科助教、元・スタンフォード大学客員研究員。

スマホ業界は大きな転換期。出荷数の頭打ちで量より質の時代へ

【2018年版】スマートフォンの最新トレンド

今回は、スマートフォンのデバイスの売れ行きトレンドとアプリ業界の現状と将来予測を合わせて眺めてみることで、現時点で明らかになっているスマホのハードとソフトの両面のトレンドを抑えてみたいと思います。

まずはハードウェアの売れ行きを、海外の記事「Apple iPhone X Becomes World’s Best-Selling Smartphone Model in Q1 2018」を参考に見ていきましょう。

世界出荷台数トップ4を「iPhone」が独占

この表は、2018年の1月から3月の間にグローバルで最も出荷台数が多かったスマートフォンの一覧です。

これを見ると、1台$1,000(約10万円)を超えるアップルの「iPhone X」がついに1,600万台を出荷し、グローバルの市場シェアを4.6%獲得しています。

ちなみに2位から4位までも「iPhone」となっており、5位の「Xiaomi Redmi 5A」というのは、インド向けに開発された廉価版の端末です。

売上絶好調「Apple」の決算は?

ここで少しだけ、2018年1月から3月期のAppleの決算を振り返っておきましょう。

今回のAppleの決算は、特にiPhoneセグメントの成長率が、アナリストの想定よりも順調に推移した結果になっており、台数ベースで見るとYoY+3%売上ベースで見るとYoY+14%という具合に、iPhone Xによる事実上のiPhoneの値上げが功を奏した形になっています。

地域別に見ても、北米でYoY+17%、中国でYoY+21%、日本でYoY+22%という具合に、リッチな国で、高級版である「iPhone X」がよく売れていることが伺えます。

Next: スマホ出荷台数はついにマイナス成長へ。アプリ業界の現状は



グローバルのスマホ出荷台数は、ついに前年同期比でマイナス成長へ

議論をスマホの出荷台数に戻したいと思います。

冒頭の表で注目したいのは、スマホのグローバル出荷台数が前年同期比で-2.4%とマイナス成長になっている点です。

1年前の時点ではYoY+6.2%で成長していたわけですから、今回の四半期が、プラス成長からマイナス成長に転落した非常に大きな転換点だと言えることは間違いありません。

過去十数年間にわたって巨大な産業を作り出したと言えるスマートフォンですが、デバイスの販売台数そのものは今後もフラットか、若干のマイナスで推移してきそうだと言えるでしょう。

別の言い方をすれば、世界中のかなりの多くの人に既にスマートフォンが行き渡っているとも言えるかと思います。

一方で、そのスマートフォンの上で動くソフトウェア、つまりアプリの業界は、今後どのようになっていくのでしょうか。

今回はAppAnnieが発表したレポートから、今後5年間のトレンド予測を整理しておきたいと思います。

アプリのダウンロード数の現状と将来予測

グローバルで見ると、アプリのダウンロード数は今後5年間にわたって年平均+7.7%で成長していくと推測されています。

地域別でみると、アメリカ地域は年平均成長率が1.2%と極めてフラットに近い一方で、アジアは年平均10.3%で成長すると推測されています。

今後、アプリのダウンロード数の成長を牽引していくのはアジアであるということは間違いなさそうです。

Next: 端末販売は天井打ち。アプリ内課金は日本と中国を中心に大きく伸びる



アプリ内課金額の現状と将来予測

続いてアプリ内課金の現状を見ていきましょう。

グローバルで見ると、今後5年間にわたって年平均13.9%で成長していくと推測されています。

地域別でみると、2つのことが言えるかと思います。

1つ目は、成長率という点ではアメリカもアジアもヨーロッパも、今後5年間は13%から14%という非常に高い成長率でアプリ内課金が増えていくと推測されています。

2つ目は、絶対額という点では、中国と日本という2大アプリ課金大国を有するアジアが圧倒的に大きくなるということがデータから見えそうです。

最後に、スマホ1台あたりの消費額で見ると、2017年時点では平均$20.94(約2,094円)であるところが、2020年には$25.65(約2,565円)まで成長すると考えられています。

これは年平均の成長率に換算すると22.5%という、極めて高い成長率でアプリ内消費が増えていくと予想されています。

Next: スマホ業界は量より質の時代へ。良質ユーザーの囲い込み合戦が始まる



まとめ

以上を簡単に整理するとこのような形になります。

<ハード編>

・最も売れているスマホ端末トップはiPhone X
・最も売れているスマホ端末トップ4はは全てiPhone シリーズ
・スマホ出荷台数は前年同期比マイナスへ(今後、出荷台数はフラット〜マイナスへ)

<アプリ編(ダウンロード数)>

・グローバルで年平均7.7%で成長と推測
・地域別の年平均成長率では、アメリカ地域が1.2%、アジアが10.3%

<アプリ編(消費額)>

・グローバルで年平均13.9%で成長と推測
・地域別の年平均成長率では、全地域13-14%と高い成長率が予測される
・スマホ1台あたりで見ると、$20.94から$25.65ドルと年平均22.5%と高い成長率が見込まれる

これからは、闇雲にスマホの出荷台数やアプリのインストール数といった「量」を追うのではなく、良質なユーザーを獲得して、長い時間継続的にサービスを利用してもらうという「質」を追求していく時代になってきているのではないでしょうか。

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『決算が読めるようになるノート』 2018年5月22日号『スマホ端末の売れ行きとアプリ業界のトレンドから見る「量」から「質」への構造転換』より抜粋
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