美貌の勝利ではない。大塚家具騒動を数字で分析してわかったこと

 

勝久会長兼社長体制になり7月30日の第2四半期の発表では有価証券を売却して純利益を積み増したが、思わぬところでの損失が膨らみました。「いかん。このままでは俺の経営責任が問われる」とでも判断したのでしょうか。まぁ1年前からわかってたことなのでそりゃないと思いますが、当初3億230万円の有価証券の売却だった予定をさらに積み上げ、10億7700万円を売却する決定をしました。

そんなやりくりをしながら業績の回復に努める訳ですが、一向に業績は上向きません。しかしながら強気の姿勢は崩さず、8月7日に第2四半期の決算短信を発表しますが、その中で通期見通しは期初と変わらず売上高585億円、経常利益13.9億円、純利益10億円の業績予想をしています。このあたりは相当苦しかったんじゃないかと思います。そして10月31日に業績予想の下方修正が発表されます。13.9億円の経常利益は4.4億円に。10億円の純利益は7.3億円に減収するとの発表です。久美子社長を解任し、結果を出さなくてはならないプレッシャーもさぞかし大きかったことでしょう。しかし業績は回復しません。

12月24日の業績予想で2度目となる下方修正をしました。一度目の下方修正では経常利益が4.4億円になるとのことでしたが、そこからさらに減少し、黒字から一転、経常利益は3.4億円の赤字になるとのこと。純利益は4億円の黒字ですが、10億円もの有価証券売却益を計上しての数字ですから実質の経営数値では赤字の状態です。2度の下方修正を行ったこと。これが決定打だったのでしょう。

そして1月28日の発表で久美子氏が社長になり勝久氏が会長になる人事が発表されました。勝久会長がクーデターだと発言した経緯です。2015年2月13日に「新経営体制に関するお知らせ」が発表されました。

それによると社内取締役は久美子社長、大塚雅之氏、佐野氏、山田氏の4名となります。この体制となる前の勝久会長体制の取締役だった、一族の勝之氏とプロパー役員の渡辺氏の名前が消えています。

では、このクーデターと発言した取締役会がどういう形で開催されたかが気になります。この時点で3名の社外取締役がいました。中尾氏、阿久津氏、長沢氏の3名です。この3名の中で新経営体制に、阿久津氏と長沢氏の名前が列記されています。そうなると考えられるのが、久美子氏支援に回ったのが佐野氏、阿久津氏、長沢氏の3票であると考えるのが自然です。一方、勝久会長派は大塚勝之氏、渡辺氏の2名です。なので社外取締役の中尾氏が勝久会長側につけば、この社長交代劇は成り立たなかったのですが、久美子氏体制になった結果があるので棄権か久美子氏支援についたと考えるのが自然なのかと思います。

以後は株主総会を開催し勝久会長の辞任を提案する運びとなったのが今回の騒動です。ここまで説明すればわかると思いますが、上場企業として考えた場合に、この度の久美子社長の行為は至極当然のことだった訳です。

財務内容がいい状態であれば、いかように企業は変革を図れますが、これが財務内容が悪い場合、何も手を打つことができません。無借金で100億円もの現預金と70億円の有価証券があれば、変な話アーリーが経営しても会社は潰れないと思います。まぁ何もやらせてもらえないと思うけど。

とにかくこの状態では社員が可哀想だからお父さんもこのあたりで引くべきかと思うのですが、どうなるんでしょうね。

個人的には全く興味のない話ですがメルマガのネタになったことを感謝しております。

 

『<ロードサイドのハイエナ> 井戸実のブラックメルマガ』 187号店より一部抜粋

【187号店の目次】
★ご挨拶
★レストラン訪問記
★井戸実コンシェルジュ
★『イヌオク』コラボ今週の物件!
★新コーナー!! 失敗の軌跡
★アーリーの失敗例から学ぶ Mr.Idoの成功哲学
★Q&Aコーナー
★物語 「チバカラス」
★最後に

 

『<ロードサイドのハイエナ> 井戸実のブラックメルマガ』

著者/井戸実
神奈川県川崎市出身。寿司職人の修業を経て数社の会社を渡り歩く。2006年7月にステーキハンバーグ&サラダバーけんを開業。レストラン訪問記やQ&Aが充実のメルマガは毎週水曜配信。
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source: 大塚家具

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