TPP「秘密」合意の全容判明…新聞報道から各紙のホンネを読み解く

 

「攻めの農業」イデオロギー…【読売新聞】

【読売】は、まず、4面に小さな政局記事があり、憲法53条を根拠に野党が臨時国会の召集を要求することを伝える。そのなかに、「環太平洋経済連携協定(TPP)交渉の審議を求めることを提案」という記述。

続いて9面経済面には「「攻めの農業」へ効果カギ」「農家負担、米では定着」とある。森山農水相が表明した、農業生産者の負担で農産品の消費拡大や輸出促進を目指す新たな制度について書いている。

アメリカでは普通のことになっていると、義務化するためには新たな法整備が必要で、生産者側が同意できるほどの効果を示せるかどうかがカギを握る、としている。

uttiiの眼 刺激的な内容

《読売》のTPP関連情報の扱いは、やはり実に《読売》らしい。安倍政権が嫌がる「重要5項目の3割で関税撤廃」という見出しと記事を避け、「もうTPP交渉の結果を云々することは不要だ」といわんばかりの見切りの早さ。「攻めの農業」と騒いでいる。

ただ、この新たな制度の話は、関税収入が減ることについての対策という意味で重要。17日土曜日付のメルマガで書いたように、輸入牛肉の関税収入は国庫に入らず、特定の畜産振興策に使う「特別会計」のような仕組みになっている。《読売》が紹介している制度は、振興策の原資である輸入関税が減り、やがては枯渇することへの対策を、生産者自身の負担で行うという、実に刺激的な内容だからだ。

輸入品との価格競争を強いられる上に、新たな拠出金まで求められる。これでは、生産者が納得できるはずがない。だからこそ、「攻めの農業」というイデオロギーが必要だったのだろう。

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