支援という名の支配力
ワシントンコンセンサスの下で展開される途上国開発は、前段の部分で様々な政治的条件を課し、完成後も、「アフターケア」とは言うものの事実上の利権を残すことで、やがてそれは現地市場における秩序を形成していく。
通常、彼らは新自由主義(または市場原理主義)を展開し、これに合致しない現地の伝統を「人権問題」などとして取り上げ、国際社会を味方に自らのプレゼンスに正当性を与えていく。
さらに獲得した利権を通じ、現地における自国民、企業に「権利」が醸成されることから、これを大義に、状況次第では「国益」と称す政治介入を積極的に行う。その延長上には軍事介入すらままならない。
この秩序、利権はやがて固定化し、現地の権威と共に保守層を形成する。この保守層は「入植」するグローバル企業に寄り添い、市場における自らの影響力拡大を目指す。その影響力はいずれ強い政治力へと発展する。
グローバル企業の影響力は非常に大きく、現地の特色を活かした彼らなりの発展を阻害するだけでなく、伝統的なライフスタイル、地域社会を破壊し、その国のアイデンティティさえも奪うことがある。
自国らしさを取り戻し、社会の不均衡と格差是正に取り組む改革派(「真の愛国派」とでも呼ぶべきか)と、先進グローバル企業と共に利権を貪る現地の保守派との間には対立が生成され、その対立が紛争へと発展することも少なくない。結果、その紛争が現地、周辺地域の発展を遅らせ、今もなくならない貧困の種を世界にまき続けている。
●参考記事(ウォールストリートジャーナル):日本がミャンマーで犯す過ち