ダメンズとだらだらと関係を続ける彼女が洗濯できないワケ

2015.12.07
by Mocosuku
 

片付けができない、掃除ができない、洗濯ができない…。こんな、汚部屋の住人といわれる若い女性たちが話題になっています。
彼女たちはとにかく物が捨てられません。クローゼットには何年も着ていない服がぎっしりあり、粗大ごみはベランダや玄関先でホコリまみれです。ひどい例では、台所のジャガイモは発芽してあたかも栽培中、冷蔵庫の食品もカビが生えて発酵中…、と書き出せばきりがありません。
なぜ彼女たちは片づけることができないのでしょうか?臨床心理士で神奈川大学教授の杉山崇先生にお話を聞いてみました。

表向きは「しっかり者」実際は「汚部屋住み」

汚部屋の住人の多くは、出かけるときは身だしなみを整えているので誰も汚部屋のことに気づいていないことも多いようです。さらに、しっかりものに見られて周りから頼られている方もいます。ですが、家に帰ると何かのスイッチが切れるのでしょうか、ぐったりと座り込む自分専用スペースに根をはやし、手の届く半径50cm以内ならテーブルでも床でもお構いなしに使ったものを置きっぱなし。
もちろん、このような部屋に満足しているわけではありません。「不自由だなあ、片付けようかなあ」と思いながらも、「掃除や洗濯が先かなあ」と片付けは先延ばし。横綱レベルの汚部屋の住人になると、掃除、洗濯もやろうと思いながら「後でやればいいか」とついつい後回し…。汚部屋はどんどん汚部屋レベルの最高記録を更新することになります。

片づけられないのは「快楽原則」に流される人

片付けは簡単に見えて意外と難しいものです。「片付けコンサル」を名乗る人もいるくらいで、上手な片付け方を紹介する本はますます売上を伸ばしています。片付かないのは、人として許せる範囲内でしょう。ですが、掃除、洗濯は先延ばしにしすぎると雑菌も湧きます。異臭が漂うようになって「これはヤバイかも…」とやっと洗濯に取り掛かるという強者もいるようですが、彼女たちはなぜここまで部屋を汚くしてしまうのでしょうか。
彼女たちの多くは「快楽原則」に流されやすい人たちと言えます。掃除や洗濯にかぎらず、特に今モーレツに「困っていない」ことは全て後回しです。彼女らは「困った」という感情が行動の原動力です。そして「困った」が一つ解消するとその快楽に溺れてしまいます。結果的に、他の「困った」は忘れてしまって、グズグズ、ダラダラと洗濯や掃除は先延ばしにしてしまうのです。

「片づけられない女」はダメンズとだらだら関係を続ける

パターンとしては「モーレツに困った、焦った!!」→「ぎりぎりセーフで何とかなった」→「安心した……。ホッとした……。疲れた……」→「ゆっくりさせて……」→「(問題の放置で見えない問題が拡大する)」→「ヤバイ!!モーレツに困った、焦った!」を繰り返しています。
このパターンは汚部屋のことだけではなく、男女関係にも拡大されていることがあります。たとえば、DV男や借金男、マタハラ男など、一般的には「ダメンズ」と呼ばれる人たちは自分が女性に頼りたい時は妙に紳士的で優しくなります。これはこれで心地いいので、この心地よさに身を任せてしまうのです。あとあとDVや借金などモラルに欠ける行為で困ります。ですが場渡的にでも何とかなってしまうと、「何とかなった」という心地よさに酔いしれて、根本的な問題から目をそらします。その場の心地よさに負けて別れるきっかけやタイミングを逃してしまうのです。

目先の快楽より、長期的にみた快楽を

生物はもともと快楽を求めるように作られているのですが、人は目的意識や計画性を進化させて「人」になりました。目的が達成できるのも「気持ちいい!」と感じるように作ってあるのです。思った通りに部屋が整っていることも、男性に困らされるリスクや異臭が漂う心配のない安心感も本当は「気持ちいい!」はずです。目的意識や計画性を保つのは疲れることかもしれませんが、本来はそれを上回る「気持ちいい!」があるのです。
まずは、洗濯を計画的にやることを「気持ちいい!」と感じられるように心がけてください。実際、洗濯籠が空で異臭の心配がないのは心地いいものですよ。ここから、汚部屋の住人を抜け出せるといいですね。

<執筆者プロフィール>
杉山 崇
神奈川大学人間科学部/大学院人間科学研究科教授。心理相談センター所長、教育支援センター副所長。臨床心理士、一級キャリアコンサルティング技能士、公益社団法人日本心理学会代議員。

 

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記事提供:Mocosuku

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