もはや三国志の世界。「中東問題」で米・中・露が覇権争いを激化

 

中国の戦略

中国は東トルキスタンがあり、その独立運動をトルコが支援していることを知っている。このため、中国の支援条件はトルコに対して、その独立運動をやめさせることになる。

トルコのエルドアン大統領は、シリアのトルコ系住民の保護を最優先にする必要があり、シリアへの派兵をしたいのである。クルド人部隊もトルコ系住民地域に進軍している。このため、トルコはクルド人部隊に空爆もしている。このようにシリアでの戦況はトルコやスンニ派諸国、特に盟主のサウジにとって、最悪な状況になっている。

しかし、米国も欧州も動かない。そのため、サウジを中心としたアラブ諸国軍を結成して、シリアへの派兵を検討し始めたが、相手にロシアがいるので、そう簡単には動けない。イラン、ヒズボラ、ロシアの特殊部隊の構成軍に勝てない可能性が高い。

現時点、中国は中立であるが、中国でバブル崩壊になり、国民の不満が頂点になった時、どうしてもプーチンと同じように国民の愛国心を高揚するために、海外に軍隊を向ける必要がある。この時、サウジ、欧州、米国などが中国を支持した場合は、中国は中東に出てくることになる。

三国志の世界に

ロシア中国米国の3ケ国が世界覇権を目指して、お互いをぶつけようとしている。

ロシアは、中国がバブル崩壊で、米国債を大量に売却することで、ドル基軸通貨制度も崩壊すると見ている。中国と米国の崩壊が同時に起きると期待している。しかし、それはないと米国サイドは否定している。

中国は、ロシアや米国が中東や東欧でぶつかり、潰し合うことを期待している。

このため、当分、平和ではなく戦争が世界の問題の解決の手段となると見る。

米国が優位なのは引きこもれば、自国周辺では敵がいないことである。ロシアとも中国ともに敵対関係にならないなら、大陸弾道ミサイルの戦争になることはなく、安全は確保できる。このため、中立にいることで、世界の紛争、特に中東から手を引くことになる。

日本はどうするのか?

日本は地理的な位置が中国の近傍にあることで、中国の影響を受けることになる。このため、中国との関係が最悪になると、戦争の可能性があるが、米国が引きこもりになる可能性があり、それを前提に戦略を見直す必要がありそうである。

さあ、どうなりますか?

image by: Orlok / Shutterstock.com

 

国際戦略コラム有料版』より一部抜粋

著者/津田慶治
国際的、国内的な動向をリアリスト(現実主義)の観点から、予測したり、評論したりする。読者の疑問点にもお答えする。日本文化を掘り下げて解析して、今後企業が海外に出て行くときの助けになることができればと思う。
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