【政権批判】古舘伊知郎ら辛口TVキャスターが続々と退陣するワケ

 

これについては、キャスター経験者や就任予定者からキャスター論や決意表明が聞こえてきます。

ジャーナリストの鳥越俊太郎さんは「キャスターに求められるのは、事実だけでなく、実はこんな意味があります、こんなつながりがあります、と自分の言葉で味付けすること。ネット上で自由に意見を言い合えるようになり、『キャスターに言われることはないよ』と思う人も増えただろうが、安保法制や憲法改正などで日本が大きく変わろうとしている今こそ、しっかりしたキャスターをすえた番組が必要だ」と指摘。

 

「80年代後半以降のキャスター『第1世代』は高齢化が進み、今後は『第2世代』が必要。テレビ局は若手を起用して育てていかないといけない」とも話す。

 

「NEWS23」のキャスターになる星氏は「権力をきちんと監視することがメディアの重要な役割。政治家の言っていることや政権が取り組んでいることの中身が妥当かどうか、有権者が判断できるように本質を伝えていく。私の意見も述べていきます」と話す

鳥越さんも星さんも知っている人ですし、優れたジャーナリストだと評価していますが、この記事のコメントだけだとしたら見識を疑わざるを得なくなります。「権力を監視する」? 口先だけで批判するのは、監視にならない点が理解されていないとしかいいようがありません。

ここではテレビの報道番組の望ましい形しか申し上げませんが、キャスターは編集長としての権限を与えられ、少なくともチームを組んで調査報道に取り組み、その結果をもとに権力にもの申していくべきだと思います。

月に1本、数か月に1本でもよいし、身近なテーマからでもよいですから、調査報道らしい成果を示してもらいたい。できることなら、テレビ局の総力をその調査報道に投入できるようだと、ときの政権の政策を変えさせるくらいの働きはできると思います。

口先だけの批判に終わっているから、政府に政策を変えさせるどころか、気分を害した政権側から「電波を止めると脅かされてしまうのです。反省すべきでしょう。

このメルマガでも紹介したことがありますが、私が記者をしていた「週刊現代」が徹底的な調査で日本の車検制度を変えてしまったくらいですから、新聞社やテレビ局にできないはずがないと思います。

かつて、TBS「NEWS23」のキャスターを務めた筑紫哲也さんは自らを編集長に位置づけ、1時間30分の番組を雑誌のような内容に組み立てていました。これをマガジンスタイルというのですが、やはり調査報道についてはテレビ局側の理解がなく、本格的な取り組みができず、歯ぎしりしていたのを思い出します。

いつも繰り返して申し上げていることですが、ジャーナリズムは納税者の代表の中心に位置し、民主主義のシステムを機能させる責任を負っているのです。新聞の紙面にも、テレビの報道番組にも、そのあたりの自覚が欲しいものです。日本のテレビには無理かなぁ?

image by: Teddy Leung / Shutterstock.com

 

NEWSを疑え!』より一部抜粋

著者/小川和久
地方新聞記者、週刊誌記者などを経て、日本初の軍事アナリストとして独立。国家安全保障に関する官邸機能強化会議議員、、内閣官房危機管理研究会主査などを歴任。一流ビジネスマンとして世界を相手に勝とうとすれば、メルマガが扱っている分野は外せない。
<<無料サンプルはこちら>>

print
いま読まれてます

  • 【政権批判】古舘伊知郎ら辛口TVキャスターが続々と退陣するワケ
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け