親はその有様…状態でも満足しているんです。ところが、子供の側はそれに満足していないのです。だから、子供側に葛藤や不満が生まれるのです。もっといえば、葛藤や不満を持っているのは子供側だけとも言えるんですね。しかも、ある程度年齢を重ねた人の部屋や家を片付けることは、その人の「人生自体の手じまい支度」という側面があるものです。ですから、ここではどうしても
- その人がどういう人生を送ってきたのか
- これから(残り)の人生をどう過ごしたいのか
- 子としてそれをどう考えるのか
という、実に重いテーマを語り合う必要があるのです。たとえば、食器ひとつでも(親御さんのお家にはフツー「旅館を開業するのか」と思うほどの食器類がしまい込まれているもんですが)親子で、あるいは親自身が
「もう一人だし、そんなにたくさんの食器なんていらない」
「みんなで食事をした思い出があって捨てられない」
と、真逆な心情を持っている可能性もあるのです。そのための話し合いは、その人生自体と向き合うことになるでしょう。そんな重たいテーマを平穏に進めるためには相手の意見や感情を否定しないことが必要です。なにせ親のモノのハナシなんですから。主人公は親御さんなんですよ。
もうひとつ、ゆっくりハナシをする。えーと、あの、言葉自体をゆっくり話すだけじゃなくてですね、むしろ相手の気持ちのペースに合わせるということです。親御さんの方が年を取っているわけで、思い出の数だけハナシは長くなるモンです。その長いハナシに付き合ってあげるという苦行…、あ、その、行為が必要なんですね。そのハナシが終わってこそ、彼らの気持ちも終わることができるからです。いや~、なかなかできないんですけどね(苦笑)。
片付けのキホンは、人生との対話。相手が親なら、親の人生と向き合いましょう。
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