馬鹿も休み休みに言え。責任棚上げで「若者の政治離れ」と宣うマスコミの愚

 

そもそも戦後の20代の投票率は、昭和42年の衆議院選挙を除いて、すべての選挙で世代間最下位である。つまり偉そうに上から目線で若者の政治意識の低さを嘆く大人たちも若いときにはあまり投票に行かなかったのだ。

今回新たに選挙権を得る若者を対象にNHKが行った調査では60%が選挙に行くと回答しているではないかと反論されるかもしれない。しかしあなたが「選挙にいきますか」とマイクを突きつけられたときを想像してもらいたい。「ノー」というのは無知蒙昧な非国民のようで恥ずかしいから、大抵は「行きます」とか「行くつもりです」と答えるだろう。それが人間心理というものだ。

ちなみに現在のように消費税増税が争点だった平成8年(1996年)の選挙での20代の投票率は戦後2番目に悪い36.42%。現在20代の若者の投票率より低い。政治意識の低かった若者も歳をとるとやがて投票に行くようになるのである。

むしろ問題は政策を語らない政治家永田町通信のような政争報道に終始するメディアだろう。

都知事選でも小池百合子氏突然の立候補で与党が分裂選挙になるから大変だと騒ぐ。勝手に分裂すればいい。そんなことはどうでもいい話である。私たち都民にとっては誰がいちばん私たちの生活を守ってくれるのかが大切なのだ。まあこれも正論で、じつのところ誰がなっても期待感は高くない。

そう思っていたら、日本人を父母に持つフランス生まれの若い女性がネット上で「世界で一番若者に冷たい国、日本という動画をアップしていると知人が教えてくれた。

さっそくパソコンを開いて見てみると、これがなかなかの秀作。まずフランス語(字幕スーパー付き)というところがおしゃれ。映像では、強欲な年寄りたち(私もそのひとり)が幅を利かす日本社会で若者がいかに割を食っているかをデータで明快に説明し、若者に選挙を通して世の中を変えようと訴えている。政界の痴話げんかや○×△の当確予想を伝える暇があったら、この映像をテレビで流したほうがよっぽど世のためなる。

image by: Shutterstock

 

蟹瀬誠一の「ニュースを笑え」』より一部抜粋

著者/蟹瀬誠一

国際ジャーナリスト蟹瀬誠一が、海外メディアの視点から日々のニュースを切り、テレビ番組で口が裂けても言えない本音を書いていきます。

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