イエレン「利上げ示唆」を世界はどう報じたのか?

 

経済コラム

それにしても一気に米金利の引き上げ期待は高まってきましたね。今後、米国は金利を引き上げ、日本は緩和状態にしていくと、円安により、日本の景気だけが良くなっていくのでしょうか??しかし、そうはならないことは、歴史が証明しています。

1.日銀が、市中銀行の国債を買い取ることで、市中銀行にはお金が行き渡ります。

2.お金が行き渡ると、お金は余ることになり、お金を貸し出したい銀行が増えます。

3.すると、低金利でもいいので、借りてほしい状態になります。

4.そうすれば、日本の企業は、金利が低いうちにお金を借りて、設備投資をするようになります。

5.設備投資をすれば、設備会社は儲かります。マネーは回り始め、どんどん経済は成長します。

これが安倍政権が描いているシナリオです。では、本当にお金は回っているのでしょうか?1.の部分は正しいです。確かに日銀は国債を買いまくっています。2.はどうか?本当に日本の銀行は貸し出しを増やしているのか?という疑問はずっと私の中にありました。

それが、今回ビジネス知識プレミアムという有料メルマガの中で解説されていました。(この方のメルマガは内容が濃くて、非常にお勧めです。)

そこでは、サンプルとして、日本最大の銀行である、三菱UFJ銀行のこの1年間のバランスシート(貸借対照表)の動きが記載されています。それによれば、大きく動いているものが、

【資産】
預金・預け金 +12.2兆円
貸出金    + 8.8兆円

【負債】
預金     +11.3兆円
売り現先勘定 +9.8兆円

(大きなものだけを記載しているため収支は合いません。)

となっています。
あ、貸出金が8.8兆円もプラスになっている!やっぱりお金は市場に回っていたんだ!と、無邪気に喜べたのもつかの間・・・貸出先の過去1年間の増減比較値の詳細を見てみると、

・国内株  +0.7兆円
・日本国債 -9.7兆円
・海外債券 +7.3兆円

です。

なんてことはない。海外債券ばっかり買っているんですね。というのも、日銀が国債を買いまくるので、市中銀行の投資先がなくなっちゃったんです。しょうがないので、海外、要は、米国債を買っているわけですね。FRB買わなくなった国債を、なんと日本の市中銀行が引き受けていたんですね。

なるほど。米国が安心し利上げをするわけです。この資金の流出は、確かに円売りドル買いを演出しますので、一定の円が安くなり、ドルが高まる効果はあるでしょう。

(※編集部注:一部、記事内容を修正いたしました)

image by: Shutterstock

 

毎日5分! 経済英語NEWS!』より一部抜粋

著者/八木翼
TOEIC235点だった私が900点を超えるまでの勉強の過程で感じた、「英語のニュースを解説してくれる教材があったらいいのに」という思いを形にしました。全ての英文に和訳、文法解析がついています。
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