9月8日、今度は東中野ポレポレで永を偲ぶイベントがあった。
小室等の小室寄席最終回の形でである。
そこにも私はゲストで出て、小室とトークし、まず、9日前に田中泯と意気投合した話をした。
これも永のおかげだと思ったからである。
松元ヒロと3人で飲んだと言ったら、
「ずいぶん濃いメンツだね」
と言われた。
そして、その日に思いついた話題に移った。
ツレアイに聞かれたことでもあるのだが、大橋巨泉の追悼には最初からいく気がなかったということである。
「こんなものいらない!」という番組にも呼ばれたし、護憲問題で三木睦子や落合恵子と一緒に記者会見したこともある。
それでも行く気になれなかったのはなぜかと考えて、巨泉はビートたけしらとのつきあいが深いからだと思った。
永のお別れ会にはたけしは来ない。
そんなことを話していたら、小室が、
「しめた!」
というような顔をする。
どうしてかと思ったら、巨泉の娘が会場にいたのだった。
私はあわてて、しかし、辛口評論家の私も巨泉の悪口は書いていない、と釈明したりしたが、会場は大ウケである。
小室も人が悪い。
壇から降りて来る時に、私は彼女のところに行って頭を下げた。
彼女は笑っていたが、永と巨泉の違いはやはり大きい。
小室を含めて、田中泯、林英哲、松元ヒロ等を世に出すよう尽力したのは永であって、巨泉ではない。
もちろん、巨泉も他の人よりは何倍もマシだが、永の目配りの広さと深さには及ばないのである。
image by: Tabatterstock
著者/佐高信(評論家)
高校教師、経済雑誌の編集者を経て評論家となる。著書に『保守の知恵』(毎日新聞社)、『未完の敗者 田中角栄』(光文社)など。相手が誰であれ舌鋒鋭く迫る様はメルマガ誌上でも遺憾なく発揮。“政治”に殺されたくない人は読むべし!
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