さよなら米国。トランプの「米国ファースト」がもたらす世界の終わり

 

NICの「未来予測」を辿ると……

このように、歴代大統領の軌跡を見ると、米国の脱冷戦プロセスは、紆余曲折というより右往左往の連続なのである。他方、この期間を通じて、それこそトランプが大嫌いな米エスタブリッシュメント、その中核にある外交政策マフィアは何を考えてきたのだろうか。

それを推し量る標準として私が重きを置いているのは、CIAはじめ米政府内の全ての情報関係機関が結集する「全米情報協議会NIS)」の未来予測報告書である。04年から4年ごとの12月に発表されてきたので年末までに最新版が出るはずだが、トランプ政権発足を前に一体何を提起するのか、今から注目している。

● 04年のNIS報告書『2020年の世界』

米国は2020年においても、最も重要な単独の大国に留まるであろうけれども、その相対的なパワーは徐々に衰えていくのを自覚することになろう。

20世紀が米国の世紀であったのに対し、21世紀は中国とインドが先導するアジアの世紀となるであろう。

ロシアは、国内に多くの難題を抱えているけれども、恐らく、既成勢力としての米国や欧州にとっても、新興勢力としての中国やインドにとっても、主要なパートナーとなりうるだろう。

●08年のNIS報告書『世界潮流2025』

中国やインドの台頭によって、世界の富と影響力の重心は、西から東へと移動する。

第2次大戦後に米国が主導して構築された国際体制はほとんど跡形も
なくなるかもしれない。

その多極化した世界の中で、米国は経済力も軍事力も低下した「主要
国の1つ」として振る舞わなければならない。

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