【書評】正しいのは悲観論のマルサスか、国富論のアダム・スミスか

 

新興国で生まれつつある25億の新たな中流層人口の生活を支えるような、高い生産性を背景とした経済成長は、100年に1度の富の創造のチャンスである

どちらの革命も、アダム・スミスの3つ目の投入要素に目を向けていなかった。土地と天然資源である。今起こっているのは、まさにこの土地と天然資源の生産性を劇的に改善することによってもたらされる革命だ

ますます希少になる資源を有効に使うためのソフトウェアやサービスは、巨大なビジネスチャンスになるだろう

これまでに、20億キロワット時間、つまり約2億5000万ドルにあたるエネルギーを節約してきた。オーパワーの年間売上は約1億ドルに達し、今後も急速な成長が見込まれている。オーパワーのビジネスモデルは、エネルギー消費者へのハードウェアの製造販売ではなく、公益企業、つまりエネルギー生産者へのソフトウェア販売に注目したものだ

ハンプトンクリークは、「ビヨンド・エッグ」というブランド名で、さやえんどうやソルガムやその他の植物を使用した、「植物由来の卵」を開発した。これは、栄養価も味も本物の卵と変わらない

プリウスと同じようなハイブリッド車のプロテラ製バスは、ブレーキをかけるとエネルギー捕捉し、再利用に備えてそれをバッテリーに蓄積するため、停車と発車を繰り返す都市部の交通では大きな節約になる

ウィノウ・ソリューションなどの企業は、レストラン、病院、食品サービス会社にソフトウェアやアルゴリズムや測定基準を提供することで、レストラン内の食品使用量や消費量を追跡し、メニューや量を調整して食品廃棄を半分に削減している

DIRTTは、アメリカ国内だけでも年間1000億ドルと言われるオフィス建築市場の中では、まだ知る人ぞ知る存在でしかない。しかし、販売を始めてから7年の間に、シリコンバレーの大手テクノロジー企業数社やウォール街の一流銀行、大型病院チェーンなどの有名クライアントを獲得してきた(中略)DIRTT製のオフィスなら、材料費と人件費を従来型建築の5割程度に抑えることが可能だ

第3の革命における勝者は、人口を増大させる企業ではなく、資源を節約する企業だ、というのはこれまで土井が繰り返し申し上げてきたことですが、まさにそれを裏付ける勝ち組企業リストが、本書では紹介されています。

本書でも述べられているように、正しかったのは人口増加を嘆き、悲観論を述べたマルサスではなく、イノベーションによる生産性向上を説いたアダム・スミスでした。本書を読めば、人類が悲観に囚われることがいかに愚かかがわかるでしょう。

そして明日からの投資・ビジネスに前向きになれるはずです。いますぐアマゾンに予約を入れ、届いたらすぐさま読んでみてください。

 

image by:Shutterstock

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著者はAmazon.co.jp立ち上げに参画した元バイヤー。現在でも、多数のメディアで連載を抱える土井英司が、旬のビジネス書の儲かる「読みどころ」をピンポイント紹介する無料メルマガ。毎日発行。
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