裏切りの衆院選。「関ヶ原の合戦」に例えられる、各候補者の情勢

 

まず、これで消費増税と、子育て支援への転用が承認されたのかというと、有権者にはそんな実感はないと思います。ですが、解散目的がハッキリ掲げられて、勝敗がハッキリ出れば、それは政治的には重い話ですから、2019年4月の10%というのは既定路線化するでしょう。

ですが自民党が選挙に勝ったからと言って景気が良くなる保証はありません。総理は「リーマン級が来たら見送るかもしれない」と言っており、実はこの言い方は前からあるわけですが、前回は「リーマン級ではないが見送った」経緯があり、「リーマン級なら見送る」と言っておいて「リーマン級ではない」景気後退でも見送るという「前例」があるわけです。そんな中で、消費税に対する民意のありかは全く不透明です。

改憲もそうです。希望が負けて自民が勝ったとして、9条の1項、2項は変えないという「安倍案」が信認を受けたのでしょうか? これも良く分かりません。原発再稼働もそうです。

安倍総理に関する「森友」「加計の問題についてもそうです。これで、安倍総理は「選挙の禊(みそぎ)」を通過したので「もう大丈夫」なのかというと、どちらの問題も完全に鎮火したわけではありません。

最大の問題は何かというと、の問題です。

1996年の小選挙区制導入以来、過去の小選挙区では、とりあえず自民党と新進党または民主党が二大政党という格好になっていました。共産党が「独自の戦い」のために、全選挙区に候補を立てるということがありましたが、とりあえず二大政党の対決という形はできていました。

その結果として、直近の2014年12月の総選挙では、自民党は小選挙区全体としての得票率は48.1%でしたが、小選挙区全体の75.6%の議席を得ています。この結果について、共産党の「しんぶん赤旗」が以下のような「文句」を言っています。

小選挙区「死票」総得票の48%に 民意切り捨てはっきり

今回行われた総選挙の295小選挙区で、候補者の得票のうち議席に結びつかなかった「死票」の割合(「死票」率)が50%以上となった小選挙区が全体の4割強にあたる133に及ぶことが本紙の調べでわかりました。「死票」は全国で2540万6240票にのぼり、小選挙区得票の48%を占めました。民意を切り捨てる小選挙区制の害悪がいっそう浮き彫りになりました。

というのですが、少なくとも2014年の選挙では死に票は50%を切っていたわけです。

ですが、今回は下手をすると、

自民・・・35%
希望・・・25%
立憲・・・25%
共産・・・  8%

といった格好の選挙区が多く出て来るのではないかと思われます(この数字はあくまでモデルです)。自民、希望、立憲の3党が揃う選挙区は必ずしも多くはないかもしれませんが、維新や訳ありの無所属などを入れると、「有力候補が三つ巴えという選挙区は相当数に上ると思われます。

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