一方、鳥貴族の10月の既存店客単価は3.5%の増加です。値上げによる客数の減少が1~2%というのが正しく、客単価の増加が値上げだけによるものだとすれば、値上げは売り上げを1.5~2.5%押し上げる効果があったと考えることができます。上限値は、客数の減少効果よりも客単価の増加効果の方が高くなります。
売り上げの押し上げ効果はもう少し高いと考えることもできます。
鳥貴族の客単価は長らく前年同月比でマイナスが続いていました。例えば、今年9月は1.4%減、8月は2.0%減となっています。17年7月期通期では各月平均1.0%の減少です。客単価が1%程度下落している中での話なので、値上げによる売り上げの押し上げ効果は先に示したものより1ポイント程度高い2.5~3.5%程度だったと考えることもできます。
サンプルが1月分だけなので現段階では断定的なことは言えませんが、値上げによる客単価の増加効果が客数の減少効果を上回る可能性が高いため、鳥貴族の値上げは正解だったと考えることもできそうです。
値上げ後の価格を200円台で収めたことが功を奏したと考えられます。値上げ幅は約6%と決して小さくはありませんが、280円均一から298円均一への値上げで、旧価格と新価格はともに200円台なので、「それほど値上げ幅は大きくない」と感覚的に消費者が捉えたと推測できます。
これが300円台だったら話は違ったでしょう。たとえ値上げ幅がそれほどでなかったとしても、200円台から300円台への変更であったならば、「大きく値上がりした」と感覚的に消費者は捉えるはずです。
串カツ田中も以前、ビールやホッピーセット、各サワーなどを値上げしましたが、390円から399円への値上げにとどめています。わずか9円の値上げで、上昇率は2%に過ぎません。もう少し価格を高くしたい思いがあったのでしょうが、400円の大台に乗るのと乗らないのとでは、客数への影響において雲泥の違いがあります。
外食各社は難しい判断を迫られています。値上げしたいところですが、客離れを懸念して躊躇しているところが少なくありません。そうしたなか、鳥貴族は改正酒税法などを理由に値上げを断行しました。タイミングとして、改正酒税法は渡りに船だったのかもしれません。値上げの多少の口実にはなったでしょう。
他の外食各社は、もう数カ月、鳥貴族の客数の動向などを注視していくことになりそうです。その後、値上げに踏み切る外食がたくさん出てくるのかもしれません。
image by: 鳥貴族 - Home | Facebook
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