一部にあったタワーマンションの民泊活用での利回り確保という期待も、住宅宿泊事業法成立で、ほぼ難しくなりました。6月15日、いよいよ住宅宿泊事業法が施行されました。こんなに余っている「箱」を今後どう活用するのか…明るい見通しは立ちません。
ただ、それはマンションを資産、投資の対象と見た場合です。人口減少、空室が増え続ける状況で、こんなに新築マンションを無秩序に造れば、こうなることは分かっていたことです。だから、2年前に、著書『2020年マンション大崩壊から逃れる50の方法』には、普通の方の「住まい」としてマンションの選び方と、手に入れたマンションの居住価値を高める方法を書きました。
経済評論家の方は、「売るならできるだけ早く」といいますが、多額のローンを抱えて、そこで子育てしながら暮らしを始めた人たちは、もう、簡単に、マンションを売ることはできないのです。
著書でもブログでも書いたように、私が気になるのは、夫婦年収1,000万円の共働き夫婦が目いっぱいローンを組んでがんばって買ったタワーマンションのことです。仕事と子育ての両立のため都心居住を選択した夫婦は多いのです。
子供が保育園や小学校に通い始めていれば、簡単に引っ越しはできません。それでも、家族や仕事環境にアクシデントがあったら、ローンを払い切れない場合も出てきます。覚悟を決めてマンションを売却しようと思っても、売り物件が多過ぎて価格が暴落すると、オーバーローンになって売るに売れません。バブル崩壊時の悲劇をたくさん見て来た身としては、自分たちで頑張っている若いファミリーが気になります。
今、マンションを買おうと思っている人は、金利や消費税UPの情報に振り回されずに少し待った方がいいかもしれません。間違いなく「箱」はだぶついているのですから…。そして、購入層は間違いなく減るのです。市場の原理で、住宅の価格は下がるしかないはずです。
2020年以後、購入のチャンスはいくらでもあります。賃貸の相場も下がってくるでしょう。急いで購入する必要はないのです。それでも購入したいという方は、新築だけでなく管理組合運営がうまいっている中古マンションもぜひ視野に入れてください。そして、何があるか分からないので、金利が低いからとローンを目いっぱい組むのは、考えてくださいね。
マンションを無理して購入したことで、家族が崩壊していくようなことだけは見たくありません。
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