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公正取引委員会が「接続料と4年縛り」にメス――「独禁法」をチラつかせ販売方法の見直しにつながるか

公正取引委員会が、接続料や4年縛りに関する報告書をまとめたと複数のメディアが報じた。

日経の報道では、報告書案で接続料について「有識者や専門家が定期的に検証し、透明性や公平性を確保すべき」と指摘しているという。

ただ、これまで総務省や公正取引委員会で、接続料について有識者が議論している会議を何度か傍聴してきたが、正直言って、有識者でも「手に負えない」という雰囲気がありありだった。

そもそも、同じ通信サービスを提供しているように見えても、大手3キャリアの経営体制は大きく違う。モバイルを専業とするNTTドコモに対して、KDDIは固定や海外事業なども手がける。また、ソフトバンクはどちらかといえば投資会社がメインになりつつある。ソフトバンクは国内通信分野を切り離し、上場させれば他の2社に形態は近づくが、それでも、3社が全く同質にはなりえない。

接続料は「コストに適正な利潤を載せる」とあるが、このコストを算出するために、企業に対して支出を細部に渡るまで、すべて公開しろというのはハナから無理な話だ。もし、総務省や公正取引委員会が、本気で接続料の透明性を強化したいのであれば、NTTドコモの株式をすべて買い取り、国営企業に戻すしかないだろう。

4年縛りに関しては、報告書では「独占禁止法違反の恐れがある」と指摘されるという。KDDIとソフトバンクが展開する販売方法を見直す必要が出てきそうだ。ただ、総務省の見解では「販売方法をきちんと店頭で説明すれば問題なし」というはずだった。

公正取引委員会では独禁法違反をちらつかせてきたあたりが、総務省よりも踏み込んだ動きと言える。

一連の動きを見ていると「総務省が頼りないから、公正取引委員会がしゃしゃり出てきた」という感もあるし、一方で総務省としても自分たちではどうしようもできないから、公正取引委員会の力を借りたという見方もできる。

いずれにしてもキャリアを圧力をかけようと両者が結託しているのは間違いない。

ただ、接続料が下がった場合、MVNOとしてはさらなる値下げ競争につながり、結果として、経営が苦しくなり、撤退への動きが加速することも考えられる。また、4年縛りのような買い方がなくなれば、ユーザーとしては新しい機種を買うことが難しくなってくる

総務省と公正取引委員会が好き勝手に暴れるのは結構だが、本当に国民のために役に立ったのか、数年後に、きっちりと第三者による検証の場が必要なのではないだろうか。

 

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日経トレンディ編集記者として、ケータイやホテル、クルマ、ヒット商品を取材。2003年に独立後、ケータイ業界を中心に執筆活動を行う。日経新聞電子版にて「モバイルの達人」を連載中。日進月歩のケータイの世界だが、このメルマガ一誌に情報はすべて入っている。

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