訪日外国人誘致キャンペーンは、下品な「オ・カ・ネ・ク・レ」だ

 

観光税は納める側も悪い気はしない?

海外における一つの例を紹介する。それはスペイン、カタルーニャ州バルセロナの事例である。バルセロナは元々観光地としてそれなりには有名ではあったが、オリンピックのマラソン中継でコース周辺の名所旧跡が美しく紹介されたためにそれ以降爆発的に観光客が増えた。サグラダファミリア教会に至っては寄付金が一気に増え、それまで何十年もかけて未完成だった現場に常設の設計事務所が置かれるまでになり、設計者ガウディの没後100年のメモリアルイヤーには間に合いそうだと言う。

これだけなら大いに結構というところだが、その反作用として今の日本が抱えているのと同様の問題に直面した。そこでカタルーニャ州政府は州内に宿泊する観光客に対して観光税を導入した。確か州都であるバルセロナ市内は少し割高だったように記憶する。これを財源にして、観光地としての美観や治安を守るために必要な種々の業務の費用としたのである。

蓋し、これはいい制度である。俗に「旅の恥はかき捨て」などと言うが、その恥の分くらいは幾ばくかの税金として納めてもらおうという訳である。これは個人的な感想だが、納める側も何故か悪い気はしないのである。

今後、日本が観光立国としての道を歩むと言うならそれはそれでいい。ただ「おもてなしの国」日本に生きる者として、もてなすことと媚びることは全く違う態度であるということを肝に銘じておきたいものである。

image by: Boris-B / Shutterstock.com

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ここにあるエッセイが『8人ばなし』である以上、時にその内容は、右にも寄れば、左にも寄る、またその表現は、上に昇ることもあれば、下に折れることもある。そんな覚束ない足下での危うい歩みの中に、何かしらの面白味を見つけて頂けたらと思う。

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