著者の観察によれば、まことに「鬼気迫る」中国政府の力の入れようだという。AI分野で世界のトップを走るという気概は、アメリカの調査会社によれば2017年のAI分野での資金調達額で、中国は世界全体の48%を占め(2016年は11.3%だった)、アメリカの38%を抜いて世界一になった。中国の「IT社会主義」の成否は、21世紀前半の人類を左右する最大のテーマかもしれない。
2035年、総人口が減少しインドの脅威にさらされる。中国の歴史上初めて人口が減少。インドは2024年に中国を総人口で追い越したあとも、若い国民が中心のエネルギー満ちあふれた社会が続く。中国は急速に少子高齢化の道を進んでいく。「経済的に見て明日の中国の姿は今の日本で、いまの中国の姿は明日のインドということだ」。中国は仮想敵国を日本からインドにシフトしつつある。
2049年、建国100周年を祝うのは5億人の老人。日本と同じ急速な高齢化を、日本のような社会保障制度、インフラが整備されていないまま迎える。しかも日本の10倍の規模の、人類が体験したことのない、要介護人口2億人、未曾有の超高齢化社会が誕生する。日本の「高齢化ビジネス」輸出のチャンスである。
著者は、習近平が台湾統一を果たす可能性を示唆する。第二首都の建設の目的は、台湾統一戦争になった場合の首都移転先の確保にある。国家主席の任期撤廃は、長老達に自分の代で必ず台湾統一を果たすという約束、取引をしたからではないのか。台湾統一は中国にとってプラスばかりである。人口2,355万人を加えれば、将来の人口減をかなり補える。そういう見方もあるのか。
編集長 柴田忠男
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